日ハムの大谷、球宴に野手出場で後半戦罰則無しは妥当か
NPBは13日、明後日から始まるマツダオールスターゲーム(7月15日・ヤフオクドーム、16日・横浜スタジアム)に、パ・リーグの先発投手部門のファン投票1位で選出されていた日本ハムの大谷翔平投手(22)が野手として出場することを発表した。 大谷は10日のロッテ戦で、右手中指のマメをつぶして緊急降板。オールスターでの登板は辞退することになったが、野手として本塁打競争には、第1戦、第2戦ともファン投票で選出されていた。本来、ファン投票選出選手は、投手は1試合、野手は2試合に出場することになっているのだが、今回は野手としての実績を考慮、特例としてNPBが12球団の了承をとりつけた上で野手での出場を決定したものだ。 またオールスター出場予定選手が出場を辞退した場合は、野球協約第86条により、後半戦開始から10試合は出場できないことになっている。今回は、この罰則規定が大谷には適用されないことも同時に確認された。厳密に言えば、投手による出場は辞退するわけだから、投手としての後半戦出場は10試合禁止、野手出場は罰則なし、とするべきだったのだろうが、現状のルールに照らし合わせる限り、球宴には出場するのだから出場禁止の制約は受ける必要はないと、NPBは解釈、他球団の同意を得て決定したようである。 後半戦も、すぐに投手として出場可能にするための抜け道といえば抜け道。また30万以上の票を集めたのは、先発投手部門で、DH部門では5位以内にも入っていなかった。本来ならば、監督の追加推薦のような処置をとるべきである。なぜ野手で出場できるのか、経緯も不透明に見える。 ただ、そもそも野球協約は投手と野手の両方でオールスター選出の評価を受ける選手が出てくることなどを想定していなかった。罰則に関しては、このルールの適用しかなく、最終的にNPBが決めたことで、日ハム、なにより大谷自身には、何の非もない。 球宴という栄誉ある舞台の出場を大谷だけを特別扱いした処置についての是非はあるのかもしれないが、ファンの期待を汲み取ったNPBの“英断”とも取れるだろう。 「僕の経験から言うと、これまで辞退をせずに球宴には来たけれど、投げれません、ちょっと無理できません、というピッチャーが何人かいました。監督は限られた人数でピッチャーを工面しなければならないし、いなくなると、自軍のピッチャーを酷使することになったり、他の選手も大きな迷惑をこうむります。そう考えると、投げられないと先に伝えて、野手での出場を決めた日ハム、NPBの決断は、100倍マシだと思う。パの他の球団も10試合のペナルティを科さないことに同意したのなら何の問題もない決定だと思う」 自身もキャリア通算で球宴に7度出場、優秀選手賞の受賞経験もある里崎智也氏の意見に納得。日ハムに猛追されているソフトバンクのファンにしてみれば、複雑な心境なのかもしれないが…… (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)