【解説】日銀が追加利上げ 政治の影響は? 金利はいつどこまで上がる?
■追加利上げで円相場は
――今回の追加の利上げを受けて、円相場の動きというのも気になるんですが、現在は151円の76銭から9銭で推移していますね。 まず昨日の深夜、一部の追加利上げという報道を受けてから円高が進んでいました。そして今日の午後、日銀の発表を受けて、1ドル=151円台までボンと円高に進み、直後に一気に2円近く円安に、153円台になって、だんだん落ち着いてきた感じです。総裁の会見の前は152円台80銭ぐらいでしたが、今そこからも1円ぐらい円高になっていますね。 植田総裁の会見の印象が今後も利上げをしていくんだと受け止められていると思います。
こちらは4月からの円相場ですが、一時、162円ほどまで円安が進んでいたんです。その後、政府の為替介入と見られる動きがあり、円高になってきていました。いよいよ、日銀が金利をこれから上げていく、アメリカは金利を下げていくという状況がはっきりしてきたということで、さらに円高に進んでいます。今回は利上げと国債買い入れの減額を一度にやると、「材料出尽くし」で円安になるという見方もありましたが、さらに利上げする姿勢だったことで、円高になりました。
■追加利上げの背景は
――今回、追加の利上げを決めた背景はどういったものだったんでしょうか。 主に3つあります。 まず、賃金などの状況が目標に沿っているということです。展望リポートでは賃金と物価の好循環が引き続き強まり、再来年度にむけて、物価目標とおおむね整合的な水準になるとしています。 また利上げは中小企業などの経営に響くことから政権や政治家などが反対の姿勢だったが、ここにきて、利上げを容認する発言が相次いでいました。日銀は、はっきりは言えなくても、世論や政治がどう考えているかを気にしていると思います。岸田総理大臣が経済団体の会合で「金融政策の正常化が経済ステージの移行を後押しする」などと発言。自民党の茂木幹事長や河野デジタル担当大臣からも利上げを促すように見える発言がありました。政治がとにかく利上げは反対というのではなく容認していくというような雰囲気が出てきていました。 それから、日程です。日銀は正常化に向けて、金利を上げていきたいと思います。秋は自民党の総裁選など様々な政治プロセスがありますので、不透明になります。もしこの7月に状況が揃うのであれば、ここで1回追加利上げをしておきたいという考えもあって決定したのだと思います。