スズキ、エステーと消臭芳香剤を共同開発 乗り物酔いの車内臭を軽減
スズキは、エステーと消臭芳香剤「エアフォレスト ヨワン」を共同開発した。乗り物酔いの原因にもなる車内の不快な臭いを軽減するため、北海道産トドマツの天然精油を配合した。2025年春からスズキの販売店で発売し、年販1万個を目指す。 すりガラス瓶にトドマツのキューブを詰めた。エステーのグループ会社で森林の空気などを研究する日本かおり研究所(奥平壮臨社長、東京都新宿区)がトドマツの空気浄化作用を発見した。エステーは自動車用消臭剤をすでに手掛けているが、奥平社長は「既存品とはアプローチが異なる。今回は車両の不快感を軽減するための商品で、気持ちの良い空間にすることを重視した」と語る。 開発のきっかけは、スズキの車両試験時に起きた乗り物酔いだ。同商品の開発に携わったコーポレートベンチャリング事業担当の瀬尾洋幸氏は以前、エンジニアとして車両の振動や騒音性能の分析を担当していた。その際、パソコンでデータを入力している同乗者が車酔いをした。瀬尾氏は「同乗者は乗り物酔いをしやすい。走行実験をする弊社だけの問題ではない」と感じ、乗り物酔い対策のプロジェクトを立ち上げた。 社内で乗り物酔いについて調査したところ、回答者4104人のうち「非常に酔いやすい/酔いやすい」と回答した人が23%で、そのうち64%が車内の臭いが原因と認識していることが分かった。車内は臭いがこもりやすいことに加え、車内温度で食べ物などを持ち込むと不快な臭いに変わってしまう。新車も独特のにおいがする。同社では新車開発を工夫して臭いを抑制することも検討したが「消さなければいけない臭いが多く対応できなかった」(瀬尾氏)という。臭い対策のため、インキュベーションセンター「アーチ」(東京都港区)で協業先を募ったところ、エステーが手を挙げ、共同開発につながった。複数の香りで不快感をどれだけ軽減できるかを検証し、トドマツの天然精油を配合した香りが最も効果が高いことが分かった。 エアフォレスト ヨワンは本体2千円、詰め替え用は1千円程度を想定している。