物理学者アインシュタインも講演。IFA 100年の歴史を振り返る
また、戦後になるとトランジスタが実用化され、ラジオはより小型で、デザインの自由度も高いものになりました。今回のIFAでは昨年創業100年を迎えたドイツの家電ブランド・Loewe(レーベ)が製造した、戦前および戦後のラジオなどを見ることができました。
■テレビやオーディオにも歴史あり。初代ウォークマンの展示に感慨 ラジオに続いて、IFAで存在感のある製品となったのがテレビです。ドイツでは1920年代末に早くもテレビの送信試験が実験的に行われ、1930年代には国の放送協会がテレビ放送を開始しています。1939年に第二次世界大戦が始まると、IFAは1940年から1949年まで休止されましたが、1950年に再開されると、テレビは最も重要なカテゴリの一つになりました。 当初白黒だったテレビは、アメリカでは1954年にNTSC方式によるカラー放送が始まっていましたが、ヨーロッパではカラー化が遅れ、1967年になってPAL方式でのカラー放送が始まりました。ドイツにおけるカラー放送は、後に西ドイツの首相を務めるヴィリー・ブラント外務相がIFAで開始を宣言しました。
カラーテレビが普及した後にやってきたのが、家庭用ビデオテープレコーダーの覇権をめぐる開発・販売競争です。1970年代に入ると世界の主要電機メーカーからさまざまな方式が提案されましたが、その後ビデオ市場で勝利したのは、1976年に日本ビクターから初号機が発売されたVHS規格でした。 その前年にベータマックスを発売したソニーは、据え置き型デッキの規格争いには敗れましたが、ビデオカメラでは8ミリビデオ規格を採用した小型軽量なカメラを投入し、成功を収めました。
気軽に音楽を楽しめるオーディオ機器は、幅広い世代にとって最も身近なAV製品の一つでしょう。IFA 100周年の記念展示では、レコードや磁気テープからCDへの、音楽メディアの変遷を振り返ることができました。エポックメイキングな製品としては、1963年に発売された初期のカセットテープレコーダー、1979年の初代ウォークマン「TPS-L2」、CDをソニーと共同開発したフィリップスのCDプレイヤー「CD100」などが並んでいました。