物理学者アインシュタインも講演。IFA 100年の歴史を振り返る
IFAの前身となるラジオ展が1924年に初めて開催されてから、2024年でちょうど100年。今年のIFAではこれを記念して、会場となるメッセ・ベルリンの一角に、過去100年間のエレクトロニクスの歴史を振り返る特別プログラム「IFA 100」が設けられました。記憶に残る懐かしい製品も数多く展示されていたのでその一部を紹介します。 【写真】ソニーがベータマックス規格の家庭用ビデオデッキを発売した翌年の1976年、日本ビクター(海外では「JVC」ブランドを使用)は対抗となるVHS規格の初代機「HR-3300」を発売した。IFA会場に展示されていたのはヨーロッパ向け製品のひとつ「HR-3300EG」で、日本版ではダイヤルノブだったチャンネル選択がボタン式になっている
■ラジオ展から100年、歴史を今に伝える特別プログラムが熱かった IFAの起源となる展示会は、1924年12月4日に「Große Deutsche Funkausstellung(大ドイツラジオ展)」の名称で始まりました。 現在IFA Managementは、イベントの正式名称に「IFA」を用いていますが、もともとこの呼び方はドイツ語の「Internationale Funkausstellung(国際ラジオ展)」を略して生まれたもので、今ではあらゆるエレクトロニクス製品を扱うIFAが、かつてはラジオ関連の展示会だったことを今に伝えています。 当時主に展示された製品は真空管式のラジオ受信機で、それに関連して蓄音機や録音装置なども出展されました。1924年の第1回の閉幕後、会場には電波塔の建設もスタートし、2年後の1926年にラジオ放送を開始。このベルリンラジオ塔は既に放送用のタワーとしての役割は終えていますが、今もメッセ・ベルリンの敷地内に残っています。
IFAの歴史での有名なエピソードとしては、1930年の第7回開催時、当時まだアメリカへの移住前だった物理学者のアインシュタインが開会スピーチを行ったことも挙げられます。今年開かれたIFA 2024では、会場となるメッセ・ベルリンの南側入場口に、アインシュタインの巨大ホログラム映像が流れていました。
IFA 100周年記念展示では古いラジオがいくつも展示されていましたが、中でもドイツの製品として歴史的にも有名なのは、ナチス政権下で開発された「国民ラジオ」でしょう。1933年に初代宣伝大臣に就任したゲッベルスは、国民を感化するにあたりラジオが強力な手段になると考え、受信機を普及させるため国策として低価格のラジオの開発・生産を進めました。IFAで国民ラジオが発表された後、ドイツ国内でのラジオの普及は加速しました。