2024年前半の投資信託の人気1位は株式型! 債券型投資信託を見直す動きにも期待【投資信託の最前線】
●新NISAの効果で2024年前半の資金流入額は歴史的水準 1年間の流入額が過去最大だった2007年超えも期待 連載の第1回では、新NISAがスタートした半年間で投資信託残高がさらに大きく増加したことを解説しました。今回はその資金フロー(資金流出入)を見ていきましょう。実際に投資信託が「買われた額」から「売られた額」を差し引いた「資金流出入額」を見ることで投資家の動向がより鮮明に見えてくるからです。 新NISAの効果もあり、2024年上期(1-6月)の資金流入額は+8.4兆円と、半年間の資金流入額としては歴史的な水準となりました。投資信託協会のデータによれば、6カ月間での資金流入額では2007年1-6月の資金流入額が+8.6兆円が過去最大となっており、これに匹敵する高水準です。 ちなみに、年次データ(1年間の流入額の記録)では2007年の+14.3兆円が過去最大です。この、2007年後半は米サブプライムローン問題の表面化によって年後半の資金流入が減速しました。2024年下期の資金流入ペースが落ちなければ、2007年の資金流入額を塗り替えることも期待されます。 ●世界株の好調を背景に外国株型投資信託への 資金流入額が他の投資対象の投資信託を圧倒! 投資対象のタイプ別に見ると、2024年上期は外国株式型投資信託への資金流入が+6.8兆円と圧倒的な大きさです。次いで国内株式型投資信託が+8600億円、アロケーション型(バランス型)投資信託が+4600億円となるなど、株式相場の好調を背景に、株式を主な投資対象とする分類に資金流入が集中しています。 その次が外国債券型投資信託の+3000億円となっていますが、外国株式型投資信託と比較するとその流入額は極めて限定的です。しかし、2023年頃から債券利回りが回復する中で、もう少し債券投資の価値が見直されてもいいのではないかと思われます。 ●インフレとともに債券の低利回りが終われば 債券型投資信託が見直される動きに期待 BNPパリバ・アセットマネジメントが、今年4月に公表したリサーチ「債券見通し:債券の新時代」でも解説しているように、過去10年間にわたる債券の低利回り時代がインフレとともに終わろうとしています。つまり、債券は様々な目的を達成できる資産クラスとして復活したと考えています。 債券は、一時的な値上がり益を狙うという目的だけではなく、インカム(金利)収入を目的とした長期投資や、株式との分散効果という目的にもぴったりです。個人投資家にとって、債券型投資信託の活用を見直す動きが広がることが期待されます。 藤原延介(ふじわら・のぶゆき) 1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
藤原延介
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