不要なCD、カフェで回収「ファン交流の場にも」 高校生が起業案
起業を身近に感じてもらう授業が開かれている福岡女子商業高校(那珂川市)の生徒たちが25日、福岡市中央区で起業案を発表した。校内選考を勝ち抜いた10人が、不要なCDの廃棄を防ぐ「CD回収カフェ」や、「電池式完全防水補聴器」などを提案した。 【写真】福岡県に「鹿児島湾」 生成AIが観光サイトに誤情報 同高は4月、美容を通して経営を学ぶ「ビジネスビューティーコース」の2、3年生64人を対象に「起業プログラム」を開講。開業や会社設立などを支援する「フリー」(東京都)と産学連携して、週2時限の授業を提供してきた。 2年の久保田月乃さん(17)はCD回収カフェを提案した。韓国アイドルのライブに行った時、同封のフォトカードを収集するために購入されたが不要になったCDが路上に大量に廃棄されているのを見て驚いた。SNS(ネット交流サービス)で10~40代のファン約30人にアンケートしたところ、同じCDを複数枚購入した人の約8割が家で保管すると答えた一方、寄付や買い取りする場所があれば利用したいという人は約9割に上り、CDの買い取りには需要があると考えた。 CD回収カフェはファンの交流の場も兼ねる。音楽を聴くパーティーなどを定期的に開き、フォトカードをやり取りして「推し」についても語り合う。久保田さんは「アーティストもファンも周りで見ている人も皆が嫌な気持ちにならない世界になったらいい」と希望し、講評では「現実的なサービスだ」と評価された。 ◇デフアスリートとの交流から発案 またサッカー部の3年、加藤美玖さん(17)は、2023年の聴覚障害者によるデフサッカー・ワールドカップでも活躍した松元卓巳選手=福岡ケルベロスFCなど=が指導に来た際、雨の日に補聴器を外した姿が目に留まり、補聴器は汗や水で壊れることを知った。他のデフサッカー選手にも意見を聞き、競合する既製品と差別化も図った結果、完全防水や電池式、近距離無線通信「ブルートゥース」機能付き――を提案。メーカーにも話を聞き、今の技術では完全防水の補聴器は難しいことも分かったが、「自分らしさを支える相棒に不安を抱えたままでは競技に集中できない。多くの人にデフアスリートの声が届いてほしい」と訴えた。 柴山翔太校長は発表後「人生を長いスパンで見た時に起業の選択肢があるのはすてきなこと」と話し、フリー社で起業情報を発信する「起業時代」の編集長で、生徒たちを指導した磯貝美紀編集長は「女子高生ならではの提案がたくさんあり、大人も勉強になった」と語った。【山口響】