もうすぐ春節 「龍」に沸く中国
【東方新報】頭上を見上げれば、輝く二頭の龍が宝玉をはさんで夜空を舞っている。 2月10日の春節(旧正月、Lunar New Year)を前に、中国各地はすでに華やいだ雰囲気に包まれている。来年の干支は龍。輝く龍が登場したのは重慶市(Chongqing)の歩行者天国。行燈(あんどん)をつなげた龍は170メートルに達する。 大きいものから小さいものまで、さまざまなデザインの龍でにぎわうのは浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)。同市の国際商貿城には、春節に飾る「年画」や龍の関連グッズを扱う店が集まるが、販売先は中国国内にとどまらない。 「1000種以上の春節用の龍の年画や壁掛けを売り出しました。以前は東南アジアからの注文が多かったですが、今回は特に米国からの注文が多いです」 そう話すのは世界義商総会の理事で、自らも年画の会社を手掛ける楼宝娟(Lou Baojuan)さん。楼さんによれば、春節用品の第一陣は8月に出荷。その後も注文は好調で、商品の加工の一部を周辺の山間部地域に移すなどの対応をとり、地元住民の収入アップにも貢献できたと喜ぶ。 人気商品の一つは龍のぬいぐるみ。販売店の楼珍仙(Lou Zhenxian)さんは9月以来、マレーシア、シンガポールに加え、米国のバイヤーの訪問を受け3万体以上出荷したと話す。龍は物語や映画にしばしば登場する上、他の干支に比べ中国のイメージも強い。中華圏のみならず欧米で人気なのもうなずけるが、注文量の割には利益が少ないというのも龍ならではの特徴だ。 「龍の造形は複雑で、加工に時間と手間がかかります。そのため人件費が上がるのです」 販売店の張火清(Zhang Huoqing)さんによれば、50センチ程度のぬいぐるみの仕入れ価格は20元(約411円)。もうけを得るには30元(約616円)以上で売らなければならないという。 だが、あるバイヤーは「消費者は数元の差は気にしない」と断言する。価格に関わらず、これまで見たことのない新鮮なものや面白いものがよく売れる傾向にあるというのは、めでたい正月用品だからか。これには販売店の王彩憶(Wang Caiyi)さんも同意する。 「今回、立体造形を含む新しい年画を売り出し、特許を申請しました。新商品の工芸は複雑で、伝統的なものより値段も高くなりますが売れ行きは良いです」 春節と言えば、帰省や旅行に向かう人の移動ラッシュもおなじみの光景。今回は延べ90億人の移動が見込まれている。関係部門からは高速料金が無料になるなどの恒例の優遇策がすでに発表され、人びとの春節ムードを後押ししている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。