武田砂鉄が“定額働かせ放題”を問う!──文科省からNHKに対する“圧力”文書問題
記憶がない、記憶がない、記憶がない
旧統一教会との接点について、記憶がない、ちょっと思い出してきた、やっぱり記憶がない、などと二転三転したままになっている盛山大臣だが、彼のこの発言は驚きで、報道が「事実の誤認があった場合」だけではなく、「我々が思っていることと違うような報道がなされた場合」にも、メディアに対して連絡をしているはずと、うっかり明らかにしてしまったのである。 思っているような報道じゃないことを理由に、公権力がメディアにプレッシャーをかける。このような手口が横行しているからこそ、「定額働かせ放題」について、「このように呼ばれ」や「ともいわれる枠組み」程度の表現に抑えたNHKに対して抗議文を出してしまったのか。どうも、この件だけには思えない。狙い通りに報じろ、と迫る圧力が他になかったか、厳しく問わなければいけない。 武田砂鉄 1982年生まれ、東京都出身。 出版社勤務を経て、2014年よりライターに。近年では、ラジオパーソナリティーもつとめている。『紋切型社会─言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社、のちに新潮文庫) で第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。著書に『べつに怒ってない』(筑摩書房)、『父ではありませんが』(集英社)、『なんかいやな感じ』(講談社)などがある。 編集・神谷 晃(GQ)