「トランプ関税」でハリス氏が板挟み、勝敗左右する激戦州で人気
(ブルームバーグ): 米大統領選の民主党候補であるハリス副大統領は、勝利する上で欠かせない激戦州の有権者の間で関税が人気であることを十分に理解している。だが、バイデン大統領のアプローチとの継続性を示しつつ、共和党候補のトランプ前大統領よりは穏健な貿易保護主義政策を提示するという、微妙なかじ取りを余儀なくされている。
ハリス氏は、関税に大きく依存するトランプ氏の政策を、米経済と家計に打撃を与えるものとして位置づけている。
こうしたメッセージは、経済界では総じて支持を得ているが、労働組合の有権者を遠ざけかねない。数十億ドル相当の中国製品に対する関税を維持し、今年初めには拡大する決定を下したバイデン大統領のアプローチとも矛盾する。ハリス氏はこれまでバイデン氏の決定を擁護することを避けている。
ハリス陣営では、トランプ氏がすべての輸入品に関税を課す方針を示していることについて「トランプ消費税」などとして批判している。だが、中国などによる不公正な貿易慣行によって脅かされている産業やその従事者をどのように守るのかについては説明していない。
トランプ氏は今週、ブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューで、関税について「辞書の中で最も素晴らしい言葉だ」と表現。関税政策により成長促進や製造業の雇用創出につながると主張した。
ハリス陣営のアドバイザーらは、関税を全面的に否定することなく、「税金」として位置づけることは意図的な取り組みだと話す。関税について曖昧な態度を貫く戦略は、激戦州の有権者や米企業を敵に回さないためだと、内情を知る関係者は話した。
ブルームバーグとモーニング・コンサルトが行った9月の世論調査によると、すべての輸入品に10%の関税を課すとのトランプ氏の提案について、激戦州の有権者の過半数が強く賛成、またはある程度賛成だと回答した。
ハリス陣営の広報担当者はコメントを控えた。