アマゾン、「お薦め」選出で不当圧力…公取委幹部「出品者がデジタル小作人になってしまう」
あらゆる商品をクリック一つで全国津々浦々に届ける通販サイト「アマゾンマーケットプレイス」で、運営するアマゾンジャパンが出品者らに対して不当な圧力をかけていた疑いが浮上した。国内シェア(市場占有率)が約3割に上る中、取引先との協議に応じず、契約内容が「ブラックボックス」であるケースも多いとみられ、公正取引委員会が実態解明を進める。 【表】アマゾンジャパンを巡る、公取委の調査
出品者 競争に
マーケットプレイスで日用品や食品、衣料品などを検索すると、「お薦め商品」が一つだけ大きく表示される。近くには「今すぐ買う」「カートに入れる」などと記載された「カートボックス」が現れ、そのまま購入手続きに進むことができる。
同じ商品の出品者が大勢いても別のページに移らなければ見られず、関係者によると、大半はお薦め商品から選ばれるという。お薦めに選出される基準は、価格の安さと配送のスピードのため、出品者は値下げ競争を繰り広げることになる。
公取委は、アマゾン側が出品者に低価格を求めるなどしたほか、アマゾン側が運営する有料の物流サービスを利用するよう圧力をかけていたとみている。今後は、立ち入り検査で集めた資料などを分析し、行政処分を視野に入れて調査を進めていく方針だ。
また、親会社の「アマゾン・ドット・コム」(米国)がこうしたシステムを構築した可能性もあり、公取委は独占禁止法に基づいて米アマゾンも調査する。米連邦取引委員会(FTC)は昨年9月に通販サイトを巡る問題で米アマゾンを提訴しており、欧州を含む海外当局の動きも参考にしながら、情報収集を図っていく。
何度も「不正」
アマゾンジャパンは出品者などに圧力をかけたとして、これまでも公取委から複数回の調査を受けている。16年には自社サイトへの出品者に対し、「楽天」「ヤフー」などの通販サイトと比べ、価格や品ぞろえを同等か有利にするよう強要したとして立ち入り検査を受けた。翌17年にアマゾン側への優遇を求めた契約条項を撤廃したため、公取委も「自発的に不当行為を解消した」として調査を終えた。