国会には、質問もしなければ議員立法も質問主意書も提出しない「オールゼロ議員」が数多くいる
図表6:「オールゼロ議員」期数別割合(186国会)
「オールゼロ議員」を期数別に見ると、さらに顕著に傾向が見えてきます。国会議員の役職は、年齢でなく、期数により配分されている事や、「オールゼロ議員」は、大臣経験者と、1期目の議員に多い事なども分かってきます。その背景には、2012年12月に行われた政権交代の起こった先の衆院選で、自民が大勝し、自民に大量の新人議員が誕生した事が影響しているとも考えられます。 質問時間が議員数などによって政党に配分されるのですが、自民の場合、議員数が多過ぎるため質問機会が新人議員までなかなか回ってこないという構造的な側面や、政権与党であるため、政府に対する対案などを「議員立法」で提案する事や、「質問主意書」を提出して政府に質問する事は、なかなか新人にはやり難いという側面もある事がうかがえます。 ただ、そうは言っても、有権者から見れば、新人もベテランもない。その意味では、もう少しこうした活動についても、積極的に行っていける様、構造自体を変えてもらう必要も感じます。
1年半を通じて「オールゼロ」の議員もいる 最後に、NPO法人 万年野党では、182.183国会から議会ごとに『国会議員活動データブック』を発行していますが、182.183国会から、184.185国会、そして今回紹介している186国会と、この間を通じて常に「オールゼロ議員」であり続けている議員もいます。 参議院では、松山政司 議員(自民)の1人、衆議院では、阿部寿一 議員(無所属)、小沢一郎 議員(生活)、亀井静香 議員(無所属)、川崎二郎 議員(自民)、佐藤勉 議員(自民)、末吉光徳 議員(自民)、助田重義 議員(自民)、竹下亘 議員(自民)、中村喜四郎 議員(無所属)、丹羽雄哉 議員(自民)、浜田靖一 議員(自民)、松本洋平 議員(自民)、三原朝彦 議員(自民)の13人の計14人です。 「国会議員の活動は、国会で質問する事や、議員立法を提案する事、ましてや質問主意書などを出す事だけでない」との反論も聞こえてきそうですが、そうは言っても国会内での活動は活動です。こうした議員の役割も含め、国民は、自らの選んだ国会議員がどういう役割を担っているのか、また、国会内でどれほど働いているのかといったチェックをしていく必要があるのではないでしょうか。今回のコラムもまた、そうした国民が国会議員をチェックする一つの参考になればと思っています。 また、NPO法人 万年野党では、こうした「量」的評価だけでなく、国会議員の「質」的評価の1つとして、今国会(187国会)でも質問を対象にした『国会議員「質問力」評価』を行っています。こうした取り組みにも是非、ご賛同いただければありがたいです。