和紙で創世、神話の世界 伊勢神宮のお膝元で人形作家・阿部夫美子さん遺作展
また、夫(故人)が宮城県石巻市出身で、親類が何人も被災し電気もガスも途絶えた中での避難生活が続き、震災は決して人ごとではなかった。「一番の不安は明かりのない夜の闇。月明かりだけが頼りだった」との親類の言葉が胸に刻まれた。「足元を照らす少しの明かりさえあれば、人は希望が見えて生きていける」と月光で人を導く神の姿を表現した。
作品一体一体に物語が宿る。暖さんの気がかりが、夫美子さん宅に残された100体以上の作品だ。「神話の世界をいつまでも多くの人に感じてもらいたいと母は語っていた」といい、展示・活用の場を探している。(小畑三秋)
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遺作展は神々や菩薩(ぼさつ)像など約40点が並び、おかげ横丁内の「旧おかげ座」で15日まで。おかげ横丁総合案内(0596・23・8838)。