クラブ野球界の名将・本西厚博氏が描く未来図
~クラブでは企業チームや独立リーグへ進める選手を育てる
「クラブは野球界の王道から溢れた選手が集まる場所」と説明してくれる。 「プロや企業チームへ進めなかった選手。何らかの事情で所属先が見つからない選手。そういった選手たちを育てて次のカテゴリーを目指せる道(=野球界の王道)へ、再び送り返すのがクラブの役割だと思います」 社会人・三菱重工長崎時代には、補強選手を含め都市対抗野球に3度出場。プロ野球・オリックス等では名外野手として活躍し、現役引退後はNPBのみならず韓国や独立リーグでの指導経験もある。野球界のさまざまなカテゴリーを知る男の言葉には説得力がある。 「クラブからNPB入りというのは現実的に難しい。育成契約ですら可能性はかなり低いと思います。まずは企業チームや独立リーグへ進める選手に育てることで、その先の可能性も広がります」 2008年の育成ドラフト6位で全足利クラブからロッテ入団した岡田幸文(楽天・外野守備走塁コーチ)等の例もある。しかし、クラブからNPB入りするハードルは果てしなく高いと言わざるを得ない。
「クラブと企業チームや独立リーグの大きな違いは練習時間。ハナマウイではチーム全体で集まれるのが週1-2回しかなかった。毎日、全体練習できる環境のチームと実力差がつくのは当然です」 「クラブは練習時間確保が難しいので、技術が伸びなかったりモチベーションを失う選手もいる。でも、企業チームや独立リーグへなら行けそうな素材は決して少なくはない。そういう選手が目標を失うことなく、野球に取り組める環境を作ることが重要だと思います」 ハナマウイ時代から「企業チームや独立リーグへ行きたい」という選手の意向は尊重してきたという。 「ハナマウイには社員選手と野球のみ参加のクラブ生がいます。社員選手は本業もあるので、進路に関しては会社との話し合いになります。しかし、クラブ生に関しては本人に任せます。上のカテゴリーでやれる可能性があるなら尊重してあげたい」 「企業チームでプレーすれば都市対抗野球出場の可能性は増す。露出度が高い場所でプレーすれば、NPB入りの可能性も格段に上がります。選手たちにはそこを目指して欲しいと思っていました」 2023年にミキハウスへ移籍した野手の島澤良拓は、2年連続で都市対抗野球出場を果たした。今季から四国アイランドリーグplus・徳島でプレーする投手の川口冬弥は、今秋ドラフト候補とされる。その他にも、ハナマウイから企業チームや独立リーグへステップアップした選手は存在する。