『ぶっつけ本番』でも23得点、アメリカ代表を勝利に導いたケビン・デュラント「シュートを決めるのは気持ち良かった」
「ずっとやってきていること。すぐに思い出せたよ」
ケビン・デュラントは自身4度目のオリンピックの初戦で、セルビアを相手に23得点という強烈なパフォーマンスを見せ、アメリカを勝利に導いた。驚くべきは、彼は代表のトレーニングキャンプが始まる前の個人練習中にふくらはぎの肉離れを起こし、代表のトレーニングキャンプを通じて満足な練習ができず、強化試合はすべて欠場しており、何とか本大会に間に合わせた状況でありながら最高のプレーを見せたことだ。 「正直、ちょっと疲れた」とデュラントは語ったが、ホッとした感情もあったに違いない。「プレーオフの後は試合から遠ざかっていたから、まだ心肺機能を試合の強度に慣らさないといけない段階だけど、シュートを決めるのは気持ち良かった」 「これまでずっとバスケをやってきたから、シンプルにプレーすることを考えた。チームのためにスペースを作り、シュートチャンスを作る。ゲームプランに従い、ディフェンスではチームメートを助け、オフェンスでボールを手にした時にはアグレッシブに攻めようと思った。もうずっとやってきていることだから、すぐに思い出せたよ」 この日のデュラントはフィールドゴール9本中8本成功と『ほぼ完璧』なパフォーマンスを見せた。ただ、彼が目指していたのは『完璧』だった。「最後のシュートも放った瞬間は良い感触だったんだけどね。パーフェクトで試合を終えるつもりで、狙いは良かったけど決まらなかった」 アメリカ代表を率いるスティーブ・カーは「少しずつリズムを取り戻してもらうつもりだったんだが、長いブランクから復帰したばかりとは到底思えない出来だった」と苦笑する。結果としてデュラントがシックスマンとして機能したことで、セルビアがエースのニコラ・ヨキッチをベンチに下げて一息入れさせた時間帯に、アメリカが一気に流れを持っていくことになった。 デュラントが決めた8本のシュートのうち、最もインパクトが強かったのは前半最後に決めたブザービーターだろう。残り3秒でのセットプレー、ディフェンスの注意を引き付けたレブロンからのパスを受けると、すぐさま振り向きざまのフェイダウェイ・ジャンプシュートを沈めた。レブロンは「コーチ・カーがデザインした素晴らしいセットプレーだった。練習で試したことがなかったのに、知的な選手ばかりだから上手くやれたんだ。僕がステフ(ステフィン・カリー)のスクリーンから抜け出したKD(デュラント)にパスを出すと、時間はなかったけどフェイダウェイで決めた。すごかったよ」とこのプレーを振り返る。 デュラントとレブロンがチームメートとしてオリンピックに出場するのは2012年のロンドン大会以来のこと。「この2大会は彼がいなくて寂しかった。レブロンは相手チームに恐怖心を抱かせ、それがメンタル面で大きな差を生み出すんだ。彼がチームの一員でいてくれて本当にうれしい」とデュラントは言う。 アメリカはもともと優勝候補筆頭だが、初戦でセルビアに完璧なパフォーマンスで快勝したことで、自信を深めることになった。そしてデュラントは4度目のオリンピックを楽しんでいる。「2万7000人の観客がいて、スタンドにNBAのいろんなチームのユニフォームが並ぶのを確認できた。バスケの試合に世界中の人々が集うのは素晴らしいことさ」 デュラントはこれからさらにリズムを上げていくだろう。35歳で迎える今大会は、代表における彼の集大成となりそうだ。