「お煎餅」なのに「プリン風味」や「メロンパン風味」…意外な新フレーバーで人気の「雪の宿」が「大前提」にしていること
新フレーバー開発までの道のり
新しいフレーバーを発売している「雪の宿」。食べる側は楽しみにしていますが、開発する側には苦労もあります。雪の宿は2024年で47年を迎える歴史のあるお菓子。そのため雪の宿にあう味はほとんど作られている状態です。でも新鮮な味を作っていかないと、消費者のニーズに応えることができずに飽きられてしまう恐れも。 どうやって新しい味を作っていくのかというと、上記にあるようなトレンドチェックもそうですし、日常的な買い物に行った際にも新商品をチェックしているそう。新しいフレーバーのお菓子を見つけると、雪の宿にも応用ができるかもしれないという思考になり、実際の企画に落とし込むこともあるとのこと。 また1つのフレーバーを考えるとしても、実際に試食をしてどのような味にするのかを決めていきます。例えばメロンパン風味のときには、コンビニや地元のパン屋さんなどのメロンパンを食べて、雪の宿にマッチするのはどのような味なのかを試行錯誤しています。 プリン風味でも同じ。喫茶店のプリンをテイクアウトして食べ比べをして、フレーバーを決めていきます。メロンパン、プリンといっても、その味は千差万別。味を決めるのは一筋縄ではいきません。
お煎餅であることが大前提
フレーバーに関しても日々研究をしていますが、忘れてはいけないのは、下地がお煎餅であることです。お米とフレーバーが同時に口の中に入るので、この2つの親和性が重要になってきます。 つまり、お米の甘みやおいしさとフレーバーが合うこと。これが基本的な条件なのです。トレンドを踏まえつついろいろな味を考えますが、お米と合わないならばその味が採用されることはないのでしょう。 筆者はここに、雪の宿の「お煎餅であり続ける」という強い意志を感じました。
季節ごとのフレーバー。でも使う材料にも強いこだわりが
雪の宿は、季節ごとに恒例の味も発売しています。雪の宿が、日常使いができるお菓子であることにも関係していますが、毎日の生活の中で感じる季節感を提供してくれるものです。 例えば春には抹茶をベースにした味が販売されます。2024年は「雪の宿 あわせ抹茶味」でした。その季節だけの味なので、販売を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。 でも、材料として毎年同じ抹茶が使われているのかというと、そうではありません。その年で使う抹茶が違っているのです。実際に抹茶を飲んでみて、その年に使う抹茶を決めていきます。 夏に販売されるフレーバーは、さっぱりとした味わいになっています。例えば塩バターキャラメルやレモン香るレアチーズケーキ、はちみつカマンベールなど。夏の味わいと、その年のトレンドを考えてフレーバーは決まります。 秋はさつまいもや栗など、秋の味覚を使ったフレーバーが販売されます。秋らしい味わいですが、その中にはほっこりとした懐かしさもあります。次第に冬に近づくので、どこか温かみのある味わいになっています。 冬は毎年特濃が販売されています。これは通常の雪の宿よりもミルク感がある濃厚な味わい。筆者も食べたことがありますが、これを食べてしまうと通常の雪の宿がちょっと物足りなくなる場合も。だからこそ期間限定にしているのでしょうが、できれば通年で販売して欲しいと思うくらいの満足感があります。 雪の宿は季節に合わせて新しいフレーバーが販売になり、それを楽しみに待っている人も少なくありません。このワクワク感を裏切らないため、三幸製菓では日々開発が進んでいるというわけです。 次の記事<「甘じょっぱさとミルク感、そして…」47年間売れ続けている人気のお煎餅「雪の宿」が大切にしていること>では、三幸製菓が課題としていることや、ロングセラーの理由について話をうかがっていきます。
川崎 さちえ(フリマアプリ・ネットオークションガイド)