トップシークレットマンしのだが語る、大胆すぎるマッシュアップ、100 gecsからの影響
革命を起こしたかっただけ
ーアルバムのジャケットが過激で、配信停止になってしまった事件もありました。歌詞でも過激的な表現もありますが、センセーショナルであることへの意識はありますか? シノダ:例えば、90年代のサブカルでゲテモノとかそういうものが流行ったじゃないですか? あの人たちは、してやろうみたいな感じで、意図的にああいうことをやっていたと思うんです。たまに、そういう思想というか感覚的な部分で、僕を紐づけてきそうな人がいて。僕はそれにプライドを持ってやっているわけではないので、いつもそれを否定するんです。してやろう!みたいな感覚として自分の中であった部分でいうと、あのアルバム本当は流通するつもりだったんですよ。あるレーベルを通じて流通する予定だったので、全部をストレートにして、ビジュも出し切って。これがショップに並んで、かつ売り上げを立てられれば、俺、業界ちょっと変えられちゃうんじゃね?とか思っちゃって。とにかく全部やってやろうみたいな感覚だったんですよ、正直。何も濁さず。で、やった結果、流通できなくて、ショップからも弾かれちゃって。そういう意味では、してやろう!という気持ちはちょっとありますね。ただそれは、グロいことをやることにプライドを持っていたわけではなくて、1回全部伝えちゃおうと思って。ちゃんと伝えたいものを確立した上で、いろいろ表現をしたかったという気持ちでした。 ーもしあのアルバムがショップに置かれていたら、みたいなことは考えますか? シノダ:そのとき考えていた利害と、今考える創造的利害はもちろん違うんですけど、自分が思うのは、社会人じゃないというところで。ただ表現して、それをたまたまお金にしてくれるチャンスを得られるのが、CDショップに置いてもらったりすることだから、僕らは事件を起こさないといけないと思うんですよ。それが人を不快にさせる一方で、誰かには新たな刺激となって、いい方向に転ぶこともあると思う。そうやって事件を起こして、起こして、起こしていきたい。革命もそうじゃないですか? 1回反乱を起こして、無理やりストロングスタイルに変えるのが革命じゃないですか? 僕はめっちゃ叩かれるんすけど、あまり何も感じてないですね。要は革命を起こしたかっただけなので。言葉がちょっと政治的すぎて嫌ですけど(笑)。 ー正直、受け手がちゃんとキャッチアップできなくなっている部分もあると思うんです。みんなコンプラにがんじがらめになっているというか。 シノダ:10年前くらいでも厳しくはなりつつあったけど、まだ全然行けたじゃないですか。でも今って、コンプラ的な意味合いとかもさらに極致にきてると思って。リスナーも普段の会話ではそんなこと絶対考えてないのに、目立ったところには、めっちゃ言ってくるみたいな状況で。意味わからないですけど、確かにそれは言えているかもしれないですね。 ーそういういまの時代において、トップシークレットマンの音楽は、レベルミュージックだと思うんですよね。 シノダ:結局、伝え方とか、言い方とか、そこだけだと思うんですよね。別に僕は意識してやっているわけじゃないんですけど、清楚系っぽく見える人が不倫したらめっちゃ燃えるじゃないすか? でも不倫してそうなやつが不倫を取り上げられても、そうだよねみたいな。受け手の8割ぐらいは、ただ風潮に乗っ取られてるだけみたいな。僕、今めっちゃ叩かれるんですけど、タフに続けてれば、多分あと5年ぐらい経ったら完全に巻き返せるのかなとちょっと思っていて。逆に、僕が折れたら、おそらくもっと叩かれるんですよ。 ー最近では、LiVSというアイドルグループにも楽曲提供をしたり、音楽家としての幅も広がっていますね。 シノダ:LiVSへの楽曲提供は、すごく勉強になって。自分の声の資本は男だから、それをエフェクトでピッチを上げたりすることしかできなかったので、それを女の人の声で、しかも6人分の声のキャラクターでやらせてもらったことが、すごくいい経験だったんですよ。ただ、今後の自分の魂胆としては、自分のやりたいことを100%ずっとやり続けることに尽きるので、コンスタントにいっぱい人に曲は作らないんじゃないかなとも思います。 ー現状、音楽的な部分での野心というか、チャレンジしたいことはありますか? シノダ:自分の好きな音楽たちをマッシュアップすることが、自分の中の楽しみなので、それに尽きるんですけど、数字が伸びてきちゃったことで、メンバーの生活もちょっとずつ抱えるようになってきて。そういう意味で言うと、ここ2、3年くらいには、メンバーが生活できるぐらいに伸ばしていきたいなって、数字に対しての野心はちょっとあります。でもそれくらいです。別に1億円、2億円給料をもらったところで、新宿のタワマンに住んでその次どうすんの?みたいな話じゃないですか。別に金持ちになっても、車はワゴンRでいいと思っているし、スポーツカーとかいらないので。やりたいことを100%やり続けられたらなと思います。
Hiroo Nishizawa