世界中から客が訪れる『街中の小さな一軒宿』 外国人客の目線で“おもてなし” 海外経験豊富な夫婦のチャレンジ【富山発】
4月15日、立山黒部アルペンルートが全線開通し、富山は本格的な春の観光シーズンを迎えている。こうした中、富山市の富山駅近くに連日、外国人旅行客でにぎわうゲストハウスがある。世界中から宿泊客が訪れる街中の小さな一軒宿、その魅力とは…。 【画像】外国人客のために調理器具を充実させる工夫も
海外経験豊富な夫婦の新たなチャレンジ
春の観光シーズンを迎えた富山。円安の追い風などでインバウンド需要が勢いを増し、各地で外国人旅行客の姿が目立つ。 こうした中、連日、外国人客が絶えない小さな「宿」が富山駅近くにある。富山市神通本町の「Mebuki House」。内山和也さん、デルゼル・クロイさんの夫婦が、2023年11月にオープンした。 和也さんは、富山市出身で青年海外協力隊の隊員としてエチオピアでの駐在経験がある。クロイさんは、アメリカ・オレゴン州出身でALT(小・中学校の外国語指導助手)の仕事をきっかけに富山で10年以上暮らし、働いてきた。 それぞれに海外を経験してきた二人が、夫婦で新たなチャレンジをしようとゲストハウスの運営に乗り出した。 和也さん: (エチオピアにいたころは)外国人の視点でその国を見ていたので、そういう感覚で日本を見ると、良いところ、直した方がいいなっていうところも見えてくる
「わが家のよう」一棟貸しの魅力
ゲストハウスは木造3階建て、部屋は3つある。 訪れるのは9割が外国人客で、アジアやヨーロッパなど国籍も様々だ。5月にかけて、ほぼ毎日予約が入っているという。 そして「Mebuki House」ならではの工夫が、共有キッチン。調理器具を充実させたという。 クロイさん: ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)は、日本に来ると食の選択肢が少ない。キッチンを使って、自分のちょっとした料理をつくって食べるのも需要はある さらに、一棟まるごと貸し切れるという点が、外国人客を引きつけている。 家族7人で12日間の日本旅行だというインドネシアからの旅行客は、関西から富山へ新幹線で移動してきた。 家族や友人など大人数で旅行することが多い外国人旅行客にとって、「一棟貸し」の宿はホテルよりもゆったり過ごせるのが魅力で、富山駅から徒歩圏内というのも大きなポイントだという。 インドネシアからの旅行客: わが家のよう、とても居心地が良い。地元の人のように過ごせるので、ここに決めた 観光庁の調べでは、富山県内の外国人宿泊者数は、2023年1年間でのべ21万人あまりにのぼる(観光庁「宿泊旅行統計調査」速報値)。県によると、春がにぎわう一方、冬場の誘客が課題で、通年で楽しめる魅力向上や情報発信が必要だとしている。