「金魚すくい」はスポーツだ!伝来300年の大和郡山、世代を超えて白熱 道場の門下生は400人、街に根付く金魚の文化
マイスターたちは、学校での出前講座を開催し、金魚産業文化を市内外に広め、後世につないでいる。 ▽ポイ選びが一番の難所 8月18日に開催された金魚すくい選手権には、全国から約1400人が参加した。北海道、東京、茨城などからも猛者が集った。 アナウンスに従い入場すると、競技者は1分間でポイを選ぶ。照明にかざして厚みをみる人、じっくりと目を凝らし見極める人。下村さんによると、耐久性が強いとみて選んだポイが思いのほか弱かったりすることがあり、ポイ選びが一番の難所だという。 張り詰めた空気の中、時間いっぱいかけて選んだ競技者たちは、それぞれ水槽の前に構える。時間は3分間。前半はじっくり金魚を見定めポイを温存する人、開始と同時に一気に数匹すくう人など、競技スタイルはそれぞれだ。 3匹を一度にすくうと会場からは歓声が上がり、なめらかに連続して金魚をすくう手さばきが披露されると観客の目が奪われた。
▽優勝は市内の大学生、3分で38匹 一般の部で優勝したのは、大和郡山市の大学4年生で「こちくや」門下生の下牧竜大さん。3分間で38匹すくいあげた。「今年はポイが弱かったため、3分間破けないように持たせるのが数を伸ばすポイントだった。小さな金魚を狙い、元気な金魚は逃していた」と語る。 真剣なまなざしでゆっくりと丁寧にポイを動かしながらも、次々と金魚をすくいあげる姿は、まさに職人だった。下牧さんに金魚すくいの魅力を聞いた。「単純にすくえると楽しい。金魚すくいのコミュニティーはそこまで大きくないので、1位から10位まで大体知り合い。いろいろな人と交流し、高めあえるのがおもしろい」 300年前に金魚が伝来して以降、大和郡山の人々に親しまれてきた金魚。大会には子どもから大人まで、さまざまな年代の参加者が集まり、金魚が泳ぐ水槽を囲んで楽しんでいた。金魚は長い歴史の中で文化として根付き、人々が集う場所として輝いていた。