中日は「今年は変わるんじゃないか」。山﨑武司氏が語る投打の注目選手
立浪和義監督の契約最終年となる今シーズン。心なしか、「セ・リーグのダークホース」として中日を挙げる識者が目立つ。果たして中日は本当に期待できるのか。それとも――。キャンプ取材などでの率直な印象を、OBの山﨑武司氏に聞いた。 * * * 結論から言うと、「今年は変わるんじゃないか」と感じたキャンプでした。昨年は球場に足を踏み入れた瞬間に「厳しいな」と思ったほど活気がなかった。それがガラッと雰囲気が変わり、選手の顔つきも違った。そういう雰囲気づくりがまず目につきました。 今シーズンの順位は4位と予想します。投手陣の顔触れを見ると、Aクラス争いをしても不思議ではない。最低限、打線が打てればという前提の下ですが。 中日の課題は明確で、チャンスで打てる打者の存在。打点を稼げる主軸として、年俸3億円といわれる大型契約で中田 翔を獲得しましたが、正直、打者陣全体で大きな上積みがあるとはとらえていません。中田の加入で点が取れるチームになるかというと、また話は別ですから。 中田はオープン戦の打率が1割台(3月19日時点で.125)。どん底の状態で、数字よりも内容が良くないのが気になります。 期待も大きいですが、今の中田に30本塁打を求めるのは酷。彼を4番に起用してダメだった場合は、ダヤン・ビシエドを使うしかない。僕はビシエドをダメだとはまったく思っていないので、1年スパンで見ると、ビシエドを腐らせないためのマネジメントも重要です。 それでもAクラスを目指すと考えると、中田と石川昂弥がキーマンになります。打点を求められるふたりがどう機能するか。それは絶対ですね。 岡林勇希ら出塁できる選手はいるので、キモは明らかにランナーをかえす選手。細川成也が状態を上げてきましたが、中田にしろ石川にしろ「4番に適任」とは言いづらく、消去法的な要素が大きい。 僕なら石川を使いたいですが、まだ迫力不足で体のキレも本調子ではない。開幕から4番は中田を起用するでしょうが、そのあたりも含めて、やはりキーマンはこのふたりです。 外野はダブつき気味ですけど、オープン戦で結果を残している三好大倫が競争に加われるかどうか。新外国人のアレックス・ディカーソンは体のキレが落ちているのが気になりますが、大島洋平も控えていますし、岡林、細川を中心にあまり不安はないです。 最大の懸念は二遊間。候補は8人ほどいるわけですが、僕から見ても抜きんでた選手がいない。外国人選手の起用などで乗り切るのであれば、またこれまでと同じことの繰り返しになります。 候補者は一長一短ですが、あえて名前を挙げるなら、村松開人の成長を感じます。昨年にチャンスをもらった経験が生きているのか、技術的にもずいぶん改善が見られた。ただ、その成長だけでレギュラーというレベルではまだないです。 あとは、ルーキーの辻本倫太郎。打つほうも「思っていたよりもやるな」という印象ですが、彼の場合は守れるのが大きい。経験を積むことで、いいショートになる可能性を秘めています。