中日は「今年は変わるんじゃないか」。山﨑武司氏が語る投打の注目選手
個人的には、高橋周平をどう使うかが気になります。オープン戦で結果を残しているので、一度、周平をセカンドで試してみてほしい。今の起用法だと、首脳陣の選択肢として薄そうですが、シーズンは若手だけで乗り切れるほど甘くない。「中心となるべき選手がそろそろ出てきてほしい」という願望もあります。 昨年よりは貧打が解消されると考えていますが、それは経験値や慣れが好影響をもたらすとみているからです。石川や細川、村松に岡林といった若手が昨年に得た経験は、今シーズンに還元されるはず。補強や入れ替えではなく、個々のレベルアップが期待できます。 昨年は采配にも批判が集まりましたが、そもそも選択肢が限られていた。今年はその幅が少し広がりそうですし、監督に進言できるコーチがいるのか、という部分も注目したいです。 一方の投手陣は、他球団と比べても不安が少ない。正直、「この投手陣ならAクラスに入らないと」というレベルだと思います。クローザーにライデル・マルティネスがいて、セットアッパー候補も松山晋也ら力がある選手が3、4人ほど控えている。スターターもローテ候補が8、9人くらいいます。 そんな中でも、髙橋宏斗にはエースとしての奮起を期待したい。能力の高さは疑いようがないですが、本人が「将来メジャーに行く」と公言するのであれば、今のままではダメ。毎年フォームをイジってますが、僕ならやめさせます(笑)。 現状は明らかにボールがバラついており、要所で力を入れたときに意図するボールが投げられていない。それでもシーズンが始まると微調整できる選手なので、調子を戻してくれると信じています。彼が貯金をつくってくれないと、中日は厳しい戦いを強いられてしまう。 ほかの先発候補は、根尾昂も良くはなっていますが、ひとつひとつのボールはまだ物足りなくて、もう少し安定感が欲しい。もうひとつ決め手があると、ローテ入りの可能性も出てきます。 あとは、持っているモノの良さは間違いない梅津晃大。まだ1シーズンを通して投げた経験がないので、彼の場合は〝自分との闘い〟になるでしょう。それがチーム成績につながるし、今年は大いに期待しています。 中継ぎ陣なら橋本侑樹。指にかかったボールはまず打てないし、左で球が速いだけでも希少です。右打者を抑えられる魅力もあるし、僕は対戦したくない投手ですね。今年は調子が良さそうですが、すごく評価している左腕です。 今年は阪神も含めて、セ・リーグ各球団の戦力に大きな差はない。中日にもチャンスがあるとみています。投手を中心とした「ディフェンス野球」をどれだけ徹底できるか。正直、いきなり打てるチームになるとは思えないので。 ロースコアのゲームで1、2点を積み重ね、接戦を制していく。そんな野球でどれだけ勝ち星を拾えるかで順位が決まるでしょうね。 取材・文/栗田シメイ 写真/産経新聞社