致死率50%の場合も!ペットの熱中症 解決の糸口となる「ペットタクシー」立ち上げは意外なきっかけ
外を散歩する犬は道路からの放射熱の影響を受けやすく、特にアスファルトは要注意です。ある飼い主さんは、夏に猫をペットキャリーに入れて動物病院まで徒歩で移動した結果、途中でグッタリしてしまい、到着したときには熱中症一歩手前の状態だったそうです。重症化すると死に至ることもありますから、飼い主さんが注意してあげなくてはいけません。外出時には水を持参する、保冷剤をキャリーに入れるなど、対策が必要です。 ── ペットの熱中症は命にかかわることがあるのですね。
森山さん:熱中症が原因で動物病院を緊急受診する犬の死亡率は約50%で、その多くは、受診後24時間以内に死亡してしまうという報道もあります。ペットの熱中症を防ぐために、暑いときは外出を控える飼い主さんも多いと思いますが、通院やトリミング、あるいは帰省、引っ越しなど、どうしても移動しなくてはいけない場面もありますよね。そうしたときの移動手段として、ペットタクシーを活用してもらえればと思い、東京と大阪、兵庫でサービスをスタートしたところです。
── 普通のタクシーとどう違うのでしょう? 森山さん:ペット専用に改良された車両で、車内にメッシュ素材の専用ゲージが設置されているので、同乗者がいる場合はゲージなしで乗車が可能ですし、同乗者なしでペットだけの移動もできます。ただし、その場合はゲージが必須です。 後部座席には専用シートが敷かれているので、抜け毛や嘔吐、トイレなどを気づかうこともありません。運転手もペット業界で勤務経験があるなど、専門知識を持った人を配置しているんです。料金も、一般のタクシーに近い計算方法を採用しているので、特別料金はかかりません。
■8時間かけて大阪から神奈川の引越しでの利用も ── 迷惑をかけたらどうしよう、と気づかう必要がないのは飼い主さんも気がラクですね。実際に、どんな場面で使われることが多いのでしょうか。 森山さん:病院の行き帰りやトリミングなど、ちょっとした移動で利用される方が多いですが、なかには、長距離の引っ越しで依頼される方もいらっしゃいます。 先日、ある飼い主さんが、大阪から神奈川への引っ越しで飼い猫を運ぶためにペットタクシーを依頼してくださいました。以前、飼い猫が乗り物酔いで嘔吐し、体調を崩してしまった経験があり、新幹線や電車のなかで、ほかの方に迷惑がかかってしまうのが心配だったそうです。今回は、猫ちゃんの様子を見つつ、こまめにパーキングエリアによって休憩をとりながら、8時間かけて移動をしました。長距離のため、料金は15万円ほどかかりましたが、「おかげで車酔いもせずに、愛猫を無事に神奈川まで連れていけた」ととても喜んでくださいました。お客さまの話を伺っていると、みなさんペットを家族同然の存在として愛情を注いでいらっしゃることが伝わってきて、心が温かくなります。