「親を捨てる」って悪いこと?「家族代行サービス」依頼が急増? 3年前に母を捨てた作家「母も“自分の人生”を生きられなかった弱者」
強制的な勉強や過干渉など、子どもの気持ちや意見を無視した行為である「教育虐待」。家族代行サービスのLMNには、そうした相談も多く寄せられているという。遠藤氏は「最初は『いい教育をしてもらっているのに、なぜ』と思っていたが、相談が多くて驚いた。行政にも『それだけ幸せな家庭で育っているのに』と実情をつかめず、当事者も外に出さないから、余計に見えないことが多い」と述べた。
■家族代行サービスで身寄り問題の解決も?
LMNが行う「家族代行サービス」は、高齢者と行政、病院、業者などをつなぐ“連絡役”の役割を担う。登録料は44万円で、定期訪問・緊急時の駆けつけや、入所・入院時などの手続き代行、葬儀・供養の手配などの「生活サポート」は1回4時間程度、1万1000円(交通費別途)に設定されている。
「『親を捨てたい』はパワーワードだが、どちらかというと、介護ができない家族の代わりに、介護から葬儀までを全部やる仕事だ」と遠藤氏は語る。 家族を代行する形で、周囲がサポートする仕組みとして「成年後見制度」も存在するが、違いはどこにあるのか。「家族代行サービスは、病院に呼ばれたり、外出できない人の行政手続きをしたりなど、リアルに家族がやる必要があるところをサポートする。成年後見人は契約行為や金銭管理など、比較的上層でのサポートを行う」と答えた。
LMNへの依頼は、家族や兄弟のいない高齢男性の“お一人様”が増えていて、家族がいても「捨てられそうだから」と自分で依頼してくることもある。また、“捨てられた親”ほど自分を“毒親”とは思っていない傾向があるという。
サービス開始当初は「高齢者のサポート」が軸で、毒親などの相談はなかったが、「最近は8割程度がそういう相談」になっている。「帰るときに『ありがとう』ではなく、『肩の荷が下りた』『楽になった』と言われる。私たちへの依頼は、とにかくどうにかしてほしいとの思いから」。 また、病院からの依頼も増えてきているという。「十数年ぶりに親のことで病院から連絡が来て、『介護をしなくてはならないが、やり方がわからない』との電話も来る。もう少し行政で制度化できると楽だと、歯がゆく感じる」と述べた。