「バカな人は、あのおかげで出会えたものね」という 両親を失った女性がそんな人に「全ての出会いをゼロにしても構わないから、両親と実家と故郷を返して欲しい」あの日の自分に宛てた手紙に綴ったいつわりない心情
ピアノに合わせ、髙橋さんの手紙の朗読が始まりました。 手紙の朗読: 「『今すぐ石巻へ車を走らせて!!!高橋匡美』こんな手紙が突然届いて、おそらくあなたは誰かの悪い悪戯かと、びっくりしている事でしょう。でも私は間違いなく、未来のあなたなのです」 あの瞬間の1時間前の自分にあてたメッセージから始まり、あの日以前の私へ、あの時以降の私へと、移り変わります。 朗読: 「人はいずれ皆死ぬとわかってはいたけれど、あんな形で奪われたたくさんの命。それがなぜ、よりによって私のお父さんとお母さんなのか。生き残っている人も、何も失っていない人もいるのに。そんな理不尽さを受け止めることがあの時のあなたによくできたね。いや、受け止めてなんかいないか。受け止めたくなくても受け止めざるを得なかった。逃げたくても逃げ場などどこにもなかったものね」 ■「両親と実家と故郷を全て返して欲しい」 時に辛辣に、生々しい言葉で心情がぶつけられます。 朗読: 「あのあと、たくさんの人に出会うことになるよ。バカな人は、『あのおかげで出会えたものね』という。そんな人に言ってやりたい。あなたなど出会えなくても別によかったから、全ての出会いをゼロにしても構わないから、両親と実家と故郷を全て返して欲しい」 そして、未来の自分から10年前の自分へ手紙に託した言葉たち。 朗読: 「焦りなさんな。柔らかい心を錆びたナイフでえぐられ続けるような苦しみも、身体が何度も突然震えだしてしまうほどの孤独も、素手の爪を立ててコンクリートを引っ掻き回すようなやり場のない怒りと痛みも、みんな背負いながら、一歩一歩、ずるずると這いつくばってでも、とにかく進んでいくことしかできないのだから」 ■手紙を書いた後に心境の変化があった 悲しみや迷い、そして出会い。会では、朗読を通して髙橋さんの思いを伝えました。 会の後「結構、赤裸々に自分は書いていたんだなと思った」と髙橋さんは語りました。 髙橋匡美さん: 「自分で自分に宛てた手紙なのに、藤沢さんに朗読してもらうと不思議な感じがしたんです。心にしみました」
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