昨年は羽生結弦、今年は荒川静香…地方競技会に2年連続で五輪金メダリストが駆けつける聖地・仙台に差した“希望の光”
仙台市に通年リンク「かけがえのない貴重な場所に」
11月下旬、仙台市が、ゼビオアリーナ仙台に国際大会などで「望ましい」とされるサイズ(縦30メートル、横60メートル)の通年型スケートリンクを新設することを発表した。2024年度から改修工事を始め、25年度の利用開始を目指す。現在、宮城県内の通年リンクは「望ましい」とされるサイズよりやや狭い(縦26メートル、横56メートル)アイスリンク仙台のみとあって、選手育成の追い風となることが期待されている。 荒川さんは取材で報道陣からこの件について問われ、「『ようやく』という感じ。通年滑れるリンクということでかけがえのない貴重な場所になる。スケートの将来が明るくなると思うと嬉しい」と声を弾ませた。 また三浦は選手の目線で、「環境が整うのはもちろん、子供たちが『応援されている』『いろんな方の支えがあってスケートができている』と感じられるようになると思う。小さい頃からスケートができる環境が当たり前ではないと感じ、感謝の気持ちを持ちながらスケートをすることは、選手としても人としても大事な部分」と話した。
仙台ではかつて栄えたスケートリンクが次々と閉鎖され、アイスリンク仙台(当時の名称はコナミスポーツクラブ泉・スケートリンク)も2004年12月~07年2月の期間、経営難により一時閉鎖に追い込まれた。11年は東日本大震災で被災して営業再開までに時間を要し、さらに今夏は電気代高騰の影響で一般営業の中止や営業時間短縮を余儀なくされる事態に陥った。 「厳しい局面を何度も乗り越えて立ち上がってきた。オリンピック選手が多数出てもなかなか変わってこなかったこれまでの時間を考えると、大きな意義があるし、大きな希望」と荒川さん。“聖地”に光が差してきた。
(取材・文・写真 川浪康太郎)