昨年は羽生結弦、今年は荒川静香…地方競技会に2年連続で五輪金メダリストが駆けつける聖地・仙台に差した“希望の光”
大学生になってからは、自らを客観視して感情をコントロールする術を身につけた。ジャンプなどの練習をした際に成功した数と失敗した数を比較し、失敗した数が多いと落ち込んでいた高校時代とは違い、現在は「成功した数ではなく、チャレンジした数が自信につながる」と思えるようになった。今大会も万全の状態ではなかったものの、本番ではコンビネーションジャンプを後半でリカバリーするなど落ち着いた滑りを見せ50点超の得点をマークした。それは練習で繰り返したチャレンジの賜物だ。 大学進学前に一度競技を離れたが、アイスホッケーをしている2歳下の弟に「二人で国体の選手になろう」と声をかけられ、再びリンクに立った経緯がある。来年の国体は初めて二人そろって出場できる見込みだ。競技継続のモチベーションを高めてくれた弟に恩返しするためにも、チャレンジの日々は続く。
金メダリスト二人の背中を追う後輩スケーターたち
三浦は荒川さんと同じ東北高校の出身でもある。「夢をいただいて、苦しい時はアイスショーの時の動画を見返したり、荒川さんが活躍されている動画を見てスピンなどを真似たりした。感謝の気持ちでいっぱいです」。身近に偉大な先輩がいることの意義は大きい。 シニア、ジュニアの各カテゴリーでトップに立ったシニア男子の本田大翔選手、ジュニア男子の尾形広由選手、ジュニア女子の常田香穏選手はいずれも東北高校在籍中。羽生さんや荒川さんの後輩たちが今も仙台のフィギュアスケート界を牽引している。 中でも、尾形は冒頭でトリプルフリップ+トリプルトーループを完璧に着氷するなど力強いジャンプを連発し、ジュニアデビューしたばかりの河本英士選手(仙台FSC)、佐々木雄大選手(宮城FSC)を圧倒した。
最近は仙台で開催される大会のジュニア男子のエントリーが1人や2人にとどまっていたこともあり、以前の取材でライバルの少なさに対する寂しさを吐露していた尾形。今季は「自己満ですけど、自分の動画を見て良い感想をもらったりするとモチベーションが上がる」との考えで練習の様子をSNSで発信するなど、新たな試みを取り入れながら士気を高めてきた。年下の二人が加わった今大会は「絶対に負けられない。ぶっちぎりで優勝してやるぞ」と気合いを入れて臨めたという。 3回転+3回転のコンビネーションジャンプや単独の3回転ジャンプが試合で決まる確率は徐々に高まってきている。来年に控える高校総体、国体では上位進出を狙う。