ISR、電算システムの資本参加でパートナーシップを強化 新たな認証サービス「MAS」を共同で提供開始
株式会社インターナショナルシステムリサーチ(以下、ISR)は14日、より安全で利便性の高い認証サービスの速やかな提供体制構築を推進することを目的に、株式会社電算システム(以下、DSK)の資本参加を10月31日に受け入れたと発表した。これにともない、11月14日から新しい認証サービス「MAS(MURO Authentication Shield)」の提供をDSKと共同で開始した。同日には、新サービスの提供背景やサービス概要について、説明会が行われた。 【画像】YubiKeyを使ってCloudGateにログインするデモの様子 ISRでは、2009年3月にDSKとの取引を開始して以来、パートナーシップを拡大してきたが、ランサムウェアをはじめとしたサイバー攻撃が増加・巧妙化し、企業におけるセキュリティ強化がさらに重要になってきたことを受け、今回、DSKからの出資を受け入れることを決定した。この資本参加によってISRとDSKはパートナーシップを強化し、より強固なセキュリティソリューションを提供してユーザーのデータ資産を守っていく考え。 DSKとのパートナーシップ強化にあたり、現在の市場環境について、ISR 経営企画本部の上田泰治氏は、「近年、日本でもランサムウェア攻撃が増加傾向にあり、今年上半期におけるランサムウェアの被害件数は114件となった。当社の調査でも、今年10月に情報漏えいを発表した企業は30社にのぼり、そのうちランサムウェアによる情報漏えいは10件に達した。企業規模では従業員1000人を超える企業が半数以上、業種別ではサービス業と製造業の2業種で全体の3分の2を占めていた。また、ランサムウェアの侵入経路は、依然としてVPN経由での侵入が中心であり、IDとパスワードでは情報漏えいを防ぎきれないため、多要素認証の義務化が急務となっている」と説明した。 多要素認証義務化の動きについて、ISR マーケティング&セキュリティキービジネス部の菊池昇氏は、「サイバー攻撃の増加を受けて、日本国内でも行政・金融・医療・製造業など各業界のガイドラインに多要素認証義務化に関する期限が記載されはじめている。例えば、医療業界では、令和9年度時点で稼働していることが想定される医療情報システムを、今後、導入または更新する場合、原則として二要素認証を採用することが求められている。このように多要素認証義務化の流れが加速する一方で、業務の現場では多要素認証の導入が難しいケースも少なくない。そこで、さまざまなエンドポイントに対応可能な多要素認証ソリューションを提案していくことが必要になる」との見解を述べた。 こうした多要素認証を取り巻く環境やニーズの変化に対応するべく、ISRとDSKはパートナーシップを強化し、新たな認証サービス「MAS」を共同で提供開始する。「MAS」は、ISRが2024年7月に提供開始した、パスキー認証に特化したSSOサービス「CloudGate MURO」とYubiKeyのサブスクリプションサービス「YubiKey as a Service」を組み合わせ、イントラネットへの安全で強固なアクセスを実現するサービス。同サービスには、初期設定などの導入時の管理者の負荷を低減するセキュリティキー事前登録、社内導入をスムーズに進めるなどのサポートを行うカスタマーサクセスマネージャー、セキュリティキーのライセンスを効率的に管理するための管理ツール(今後追加予定)を含んでおり、セキュリティキー導入における課題の解消が期待される。 DSK 務取締役執行役員の渡邉裕介氏は、「当社とISRは、以前から共同で大手企業向けに『CloudGate UNO』の導入を進めており、最近では地方自治体への導入も増えてきている。その中で顧客から、さらにハイレベルの認証サービスとして『YubiKey』のニーズが高まってきていた。このニーズは今後も拡大していく見込みであることから、10月末にISRと資本業務提携を締結。『CloudGate MURO』と『YubiKey as a Service』を組み合わせたスーパーセキュアパック『MAS』を共同で提供開始する。これまでの実績を踏まえ、『MAS』についても両社の強固な協力体制のもと拡販を推進していく」と、「MAS」の共同販売に意欲を見せた。 ISR 代表取締役のメンデス・ラウル氏は、「『MAS』では、CloudGate MUROサーバーに事前登録されたセキュリティキーを提供し、Yubicoのセキュリティキーを顧客に迅速に展開する。顧客は、入手したセキュリティキーの仮設定PINをリセットし、CloudGate MUROにログインすれば登録が完了。短時間かつ容易にCloudGate MUROのサービスを使用できるようになる。また、当社のCustomer Success Managerを顧客にアサインし、窓口担当者としてYubicoとの連携を支援する。Customer Success Managerは、技術支援からSecurityKeyの配送スケジュール調整、定例ミーティングへの参加など幅広くサポートしていく。このサービスによって、エンドユーザーの利便性を損なうことなく、パスワードレスによるVPN機器やRDP(Remote Desktop Protocol)の認証強化を実現することができる」と、「MAS」の導入メリットを訴えた。 説明会の最後には、実際にYubiKeyを使ってCloudGateにログインするデモが行われた。端末にセキュリティキーを差し込み、CloudGateの指示に従ってPINコードを入力し、セキュリティキーをタッチするだけで、認証が完了。パスワードを使わず、簡単かつセキュアに認証が行えることをアピールした。
クラウド Watch,唐沢 正和