在日コリアンは日本でも韓国でも差別される? 日本では選挙権もなく国家公務員にはなれない、母語は日本語で
僕の母語は日本語だ
僕は、韓国語を「取り戻したい」と思って韓国にやってきた。母は大阪で生まれた在日コリアン二世で、韓国語は話せない。母方の祖母は6歳のとき、韓国から日本にやってきた。 小さい頃は韓国語を話していたらしいが、日本での生活が長く、韓国語を話せなくなった。祖母が一度獲得し、失ってしまった言語。それが韓国語だ。 でも、「取り戻す」というのは本来、おかしな話である。僕にとって、韓国語は「外国語」のはずだ。母語ではない。母語とは生まれながらにその言葉を話していることを指す。僕の母語は日本語だ。僕は大阪で生まれ育った。人生の大半を大阪で過ごしてきた。酸いも甘いも、苦い思い出も楽しい思い出も、大阪にある。 僕の父方の祖母は2022年まで、済州島で生きていた。102歳で亡くなった。父と父方の祖父母が暮らした国。母方の祖父母が生まれた国。それが韓国だ。 だから、韓国語は母語ではないという意味では「外国語」といっても、ただの「外国語」ではないのだ。僕の母方の家族が一度失ってしまった言語。父方の家族が話す言語だ。それは母語でもなければ、単なる「外国語」でもない。 「外国語」として突き放して学んでいくには、つながりが強すぎる。こうやって僕が学んできた韓国語を、韓国人から侮辱されるのはたまったものではないのだ。 写真/shutterstock
---------- 韓光勲(はん かんふん) 1992年大阪市生まれ。在日コリアン3世。2016年、大阪大学法学部卒業。2019年、大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程修了。2019年4月から2022年7月まで、毎日新聞で記者として働く。2023年3月から約1年間、韓国で留学生活を送った。現在、大阪公立大学大学院文学研究科博士後期課程に在籍。日本学術振興会特別研究員(DC1)。専門は社会学、朝鮮半島地域研究。2019年、大阪大学大学院国際公共政策研究科優秀論文賞受賞。2020年、スマートニュースアワード2020報道部門ベストコンテンツ賞受賞。JBpress、CINRA、『放送レポート』、『抗路』等で記事を執筆している。 ----------
韓光勲