「保育園で手足口病が大流行」でも登園OK?SNSでは保護者の悲鳴が…親になって初めてわかった〝実情〟
子どもを中心に夏に流行する手足口病が、少し早い時期から流行しています。病気の名前はなんとなく聞いたことがありましたが、実際に自分の子どもがかかると、思わぬことが次々と――。手足口病にかかっても、厚生労働省のガイドラインでは場合により保育園に登園OKなど、親になるまではわからなかった実情がありました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎) 【イラスト解説】〝感染症ドミノ〟数週間ダウン… 「夏風邪」ならない、うつさないためのチェックポイント
有効な感染対策はなし
今年から保育園の1歳児クラスに入園した我が子。慣らし保育には苦労しましたが、2カ月が経った今では、私たち親との「バイバイ」のときにしばらくグズることがある程度になりました。 それも、ひと段落して気持ちが切り替わると、くるっとターンしてたたたっと先生に甘えにいくため、少しドライに感じるほどです。 そんな保育園で現在、大流行しているのが手足口病です。ちょうど最近、この病気についてのニュースが話題にもなっていました。 厚生労働省によれば、手足口病は、子どもを中心に夏に流行する感染症です。ウイルスの感染により、口の中や手足などに水疱性の発疹ができます。 感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足の甲や裏側などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどで、高熱が続くことは通常はないとされます。 ほとんどは数日間のうちに治る病気ですが、まれに髄膜炎や脳への影響などの合併症といったさまざまな症状が出ることがあります。 感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染すること)。特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは注意が必要とされます。 厄介なことに、手足口病には有効なワクチンはなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません。治った後でも、比較的、長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあります。また、感染しても発病はせずにウイルスを排泄している場合があります。これらのことから、有効な感染対策があまりないのです。 一般的な感染対策は、接触感染を予防するために手洗いをしっかりとすることと、排泄物を適切に処理すること。それでも、「乳幼児の集団生活施設では、施設内での感染の広がりを防ぐことは難しい」(厚労省)とされています。 「手足口病は、発病しても、軽い症状だけで治ってしまうことがほとんどであるという意味で、感染してはいけない特別な病気ではありません。これまでほとんどの人が子どもの間にかかって、免疫をつけてきた感染症です」 私自身、子どもができる前は、「聞いたことがある病気」程度の認識でした。「大したことはない」というイメージもあり、毎年夏に感染拡大がニュースになっても、ほとんど気にも留めていませんでした。しかし、子どもができると、受け止め方が大きく変わったのです。