戦前からの歴史持つ日立南米社 ブラジルで活躍する日系企業の今(31)
現地人経営陣主体の現地に根付いた経営へ
日立グループはグローバル化で社外の取締役や執行役員も含めて国際化の流れにあり、海外拠点では国籍を問わず現地のことが分かる人を積極登用している。 「複雑な税制のように、海外から来た人がブラジルで感じる違和感を知り、同国の発展を考えて他国とのギャップを改革していくために現地人経営者は大事です」と言う三好社長は、1973年に父親がブラジルに出向したことで3歳からブラジルで生活してきた。 当時は日系企業のブラジル進出ブームで、日本は高度経済成長期を経て発展途上であったが、サンパウロの中心街では既に多くのビルが立ち並び、大都市に覚える印象を振り返る。それから約半世紀が過ぎ、ブラジルの日系企業も現地に落ち着き、今後さらにブラジルに根差して成長してゆくために、各社で現地人経営者が選ばれるケースが増えてきた。
社員が地域密着で人に優しい社会づくり
ブラジルの日立エナジーは、ABB社が1998年に設立したNPOインスティトゥート・アマニェセールの社会事業を継承した。同NPOは日立エナジーの寄付により、グアルーリョス工場の敷地内で社会的に脆弱な立場の子どもたちに教育を通じた社会プログラムを実施している。 これまで7歳から15歳まで400人以上の青少年に、課外活動や社会見学、様々な立場の人々に話を聞く機会などをつくり、15歳以上には工場に勤めながら職業訓練校に通えるプログラムで地域社会の2千人以上に影響を与えてきた。 「最近はこの様な取り組みが若い社員の仕事へのモチベーションを高めます」と、同社でも各自の得意なことを活かしたメンタリングとしてNPOへの参加を積極的に呼びかけている。(取材/大浦智子)
日立南米社の概要
正式名称:Hitachi South America Ltda./所在地:事務所-サンパウロ、ブラジルの工場-サンパウロ州グアルーリョス、サンタカタリーナ州ブルメナウ/設立年月:1940年/従業員数約1500名/事業内容:電力とITを主としたB to B向けの社会インフラ事業/サイト:https://www.hitachi.com.br/
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