〈“指詰め”で保険適用〉詐欺容疑で暴力団若頭を逮捕「ノミをあてがい金づちで一気に」「勢いで指先がヒュッと飛んで…」ヤクザ映画とは違う実態
自らの意志で指を切断する「指詰め」を行なっておきながら、過失と偽って、不正に国民健康保険の適用を受けたとして、特定抗争指定暴力団山口組弘道会幹部、野内正博容疑者(58)が岐阜県警に逮捕された。初めて聞く事案での逮捕に、ヤクザの間ではすぐにSNSで情報が共有されていた。 〈画像〉ヤクザが指を落とすときの意外な必須アイテム
指を落とすのは輪ゴムで縛って感覚がなくなってから
この事件が話題になったのは、逮捕されたヤクザが大物だったこともある。野内容疑者といえば、弘道会では若頭という地位にいる幹部。 その幹部が昨年2月に自ら指を切断したにもかかわらず、過失による負傷と偽って詐欺行為を行なった。国民健康保険で支払いを免れた金額は4万5千円。 山口組関係者はこのニュースにあっさりと「仕方ない」と答えた。 「あれは誰が見ても偽証。指詰めは自傷行為。保険適用されないことぐらい、ヤクザなら知っていて当たり前。治療をした医者も、見るからにヤクザらしい男が切断した指を見せてきたら、『どうしましたか?』『なんで切りましたか?』なんてわざわざ詳しく理由は聞いたりしない。『事故です』と言われれば、『そうですか』としか答えようがなかっただろう」 今でも暴力団の間では「指詰め」が行なわれている。数が減っているとはいえ、ヤクザにとっては不始末に対してケジメをつけ、失敗をリセットするための方法である。 指定暴力団の古参幹部A氏はこう話す。 「小指がなければすぐにヤクザだとわかる。今はヤクザに厳しい時代。ヤクザとなれば仕事がやりにくい。昔のようにヤクザがステータスで幅を利かせられるわけではない。 シノギのために組員を組から脱退させるような時代だ。下手に子分の指を取るより、ケジメを取らせる方法はいくらでもある」 A氏は2度、頼まれて他の者の指を落としたことがあるという。 「指詰めは自分でやるより、やってもらったほうがいい。落とす指に刃物をあてがっても、イザとなれば怯むものだ。ここから落とすと定めても刃物を持つ手が震えて、斜めに切ったり、切り損ねたりしやすい」 用意するのはノミとまな板、木づちか金づち、それに輪ゴム。消毒液にタオルや包帯も用意する。極道映画の指詰めシーンでは、その場で躊躇なく小指を机の上に置き、持っていたドスや包丁で一気にすっぱりと切っているが、その手法だと痛いし出血も激しいという。 「まず落とす指の根元を輪ゴムでぐるぐるとしっかり縛る。3分もすれば、血が溜まって固まり、指先がうっ血して紫色に変色する。そのうち冷たくなってきて感覚がなくなる。落とすのは感覚がなくなってから。 まな板の上に指を置き、落とす場所を決めてノミをあてがい、木づちか金づちをそこに一気に振り落とす」(A氏)