トランプ色が強いバンス氏が共和党副大統領候補に:外交政策ではトランプ以上に過激か
バイデン大統領の挽回は一段と難しく
トランプ氏が襲撃されたことを受けて、バンス氏は「バイデン陣営の大前提は、ドナルド・トランプ大統領が権威主義的なファシストであり、是が非でも阻止されなければならないというものだ。そうした言葉遣いがトランプ大統領の暗殺未遂に直接つながった」とコメントした。この過激なコメントについては、共和党内からも批判が出された。 トランプ氏自身は、襲撃事件を受けて、18日に行う大統領候補指名の受諾演説の内容を修正した。結束により重点を置く一方、バイデン大統領への批判を減らしたことを明かしている。 またバイデン大統領も、トランプ批判をしばらく控えることになるが、それは支持率で先行するトランプ氏に追い付く戦略を封じられることにもなるだろう。 襲撃事件を受けて、トランプ氏には同情が集まる一方、強さもアピールすることになった結果、高齢が問題とされるバイデン大統領を支持率で一段と引き離した印象がある。まだ確定的とは言えないが、バイデン大統領が劣勢を挽回するのはさらに難しくなってきている可能性もあるだろう。 バイデン大統領が8月の民主党大会までに選挙戦を離脱するかどうかが、大統領選に向けた当面の大きな注目点となってきた。 (参考資料) "Trump Picks J.D. Vance as 2024 Running Mate(トランプ氏の副大統領候補バンス氏、強みとリスク)", Wall Street Journal, July 16, 2024 「米共和、副大統領候補バンス氏 ラストベルト出身の39歳」、2024年7月16日、日本経済新聞電子版 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英