疑惑解明には程遠い「裏金」議員の政倫審弁明…旧安倍派幹部の弁明で「幕引き」は遠のく
■裏金問題の核心 もともと、政治家や政治団体が政治資金を集めるための政治資金パーティーは、自民党だけでなく一部野党も開催してきた。パーティー券の相場は1枚2万円前後で、1回の開催で数億円規模の資金集めとなるケースも少なくないとされる。とくに、自民各派は、所属議員の当選回数や役職などに応じてパーティー券の販売枚数の「ノルマ」とすることが常態化していた。 その中で、今回の裏金問題の核心は「ノルマを超えてパーティー券を売った場合、派閥側がその超過分を議員側へ『キックバック(還流)』する仕組み」(閣僚経験者)にある。
政治資金規正法上、パーティー収入は原則非課税であることを踏まえた狡猾な手法で、2023年暮れ、一部報道などで裏金疑惑が発覚した際、旧安倍派所属議員だった宮沢博行防衛副大臣は、キックバックを認めた上で、「派閥から『収支報告書に記載しなくていい』と指示があった」と明言し、自身も計140万円の還流を受けていたが、「収支報告書には記載せず、問題の発覚後に派閥側から『しゃべるな』と口止めされた」と暴露している。
■「10・27衆院選」、旧安倍派「裏金」議員は約6割が落選 ちなみに、裏金事件を引きおこした旧安倍派幹部に対し、自民党は同派座長を務めた塩谷氏と参院トップだった世耕弘成前参院幹事長は、8段階ある処分で2番目に重い「離党勧告」。同派事務総長経験者の下村博文元政調会長と西村康稔元経済産業相は3番目に重い「党員資格停止」1年とし、高木毅元国対委員長は同6カ月の処分を下した。またその他の関係議員も、9人を1年間の役職停止、8人を6カ月の役職停止、17人を戒告処分とした。
これを受け「10・27衆院選」では、萩生田、西村両氏ら18人が当選したが、丸川珠代氏(東京7区)、下村博文氏(東京11区)ら28人が落選し、「裏金議員」の勝率は約4割にとどまり、最大派閥だった旧安倍派は事実上崩壊した。
泉 宏 :政治ジャーナリスト