息子の志望校は通信制高校なのですが、ホームページに制服を着ている生徒が載っていました。制服の購入は必須なのでしょうか? 授業料もあるので、さらなる出費は避けたいです
相談者Aさんの息子さんは、ある私立の通信制高校が志望校です。学校のホームページを見ると、制服を着用した生徒の写真が載っているとのこと。「通信制」というくらいだから、「学校に通わなくてもいいはずですよね? 制服があるのはなぜ?」と疑問に思っているとのことです。 ▼私立高校の「実質無償化」は年収いくらで対象になる? 支給金額とあわせて解説
通信制の高等学校とは?
通信制高校は教材をもとに、主に自宅等での学習がメインになります。そのため、全日制(週に5日間、登校する一般的な学校)の高校にはない、「添削指導」が通信制高校にあります。「添削指導」は自宅で課題を解いて提出し、指導を受けるというものです。 また通信制とはいっても、対面の授業がまったくないわけではありません。「面接指導」といって、学校に登校し、教室で受ける授業もあります。もちろん定期試験もあり、やはり登校して教室で受けることになります。 ある公立の通信制高校の場合、前期と後期、それぞれに面接授業が各12回、定期テストが各1回行われます。また、ある私立の通信制高校の場合は、年間13日間の面接授業を行うことになっています。これだけの登校のために、制服があるということなのでしょうか? 少子化の影響もあってか、全日制(週に5日間、登校する一般的な学校)の高校の数は減少傾向にあります。一方で、通信制の公立高校の数はわずかながら増加していますが、私立の通信制高校の数は大きく増えています。少子化にもかかわらず、学校の数が増えているということは「通信制高校は需要がある」と考えてよさそうです。 <平成22年> 全日制の高等学校:5116校 公立の通信制高等学校:72校 私立の通信制高等学校:137校 <令和2年> 全日制の高等学校:4874校 公立の通信制高等学校:78校 私立の通信制高等学校:179校 (文部科学省 高等学校通信教育の現状について「高等学校の学校数(公私別推移)」より抜粋)
通信制なのに「通う」学校もある?
文部科学省の同資料によると、広域通信制高校で7割近くの生徒に不登校の経験があります。不登校のほかにも、本人もしくは家庭に何らかの課題や事情を抱えている生徒が多い傾向にあります。 一方で、先述のとおり、通信制高校は自宅学習がメインです。ある公立の通信制高校は、「学習時間:年間500時間」です。つまり、計画的な自宅学習が求められるのです。 ですが、既述のように、本人や家庭に何らかの事情や課題を抱えている生徒が多いという事実があります。そこで、通信制でも「登校」を取り入れる学校があり、その場合には生徒は登校し、学校でサポートを受けながら学習を進めるのです。そのために制服があります。あるいは、制服はあるけれど「制服の着用は義務付けてない」という学校も多くあります。 なお、公立通信制高校では「登校して、サポートを受ける」機会を設けていません。文部科学省の同資料によると、令和元年の公立通信制高校の退学者が全生徒のうち8.2%なのに対し、私立は4.7%という調査結果は、こうした学校制度の特徴のあらわれかもしれません。 また、私立の通信制の場合、もう一つ特徴があります。これは必修ではなく選択ですが、「美容(例えばネイル)」や「進学準備」などの選択コースも設けられています。