朝鮮戦争“休戦”から70年・中国への遺骨返還を考える
ウクライナでの戦闘は今も収拾の見込みが立たず、パレスチナでの戦火も止まない。一方で、日本のすぐ隣でも「まだ終わらない戦争」がある。東アジア情勢に詳しい、飯田和郎・元RKB解説委員長が、11月30日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で休戦70年の節目を迎えた朝鮮戦争についてコメントした。
朝鮮戦争休戦から70年
今日は「まだ終わらない戦争」朝鮮戦争に関連した話をしたい。朝鮮戦争は1950年6月に、北朝鮮軍が38度線を越えて始まり、1953年7月に休戦協定が結ばれた。休戦70年という節目を今年迎えたが、その言葉のとおり、「休戦」であって、今も「終戦」ではない状態が続く。この休戦協定は、南側の国連軍、そして北側の北朝鮮軍、それに中国軍の間で締結された。 中国も軍隊を朝鮮半島に送り込んで戦った当事国のひとつだ。その中国をめぐる最近のある出来事から考えたい。 中国は北朝鮮を支援するため、毛沢東の決定で1950年10月参戦した。中華人民共和国の成立が1949年10月だから、国の誕生からわずか1年後のことだ。その軍隊の名前は「中国人民志願軍」。中国は合わせて290万の兵隊を送り込んだ。まさに人海戦術だ。このうち約19万8000人が戦死した。そのように中国は公表している。 最高指導者・毛沢東も、長男を朝鮮戦争で失っている。そんな戦いを経て、今日の中国と北朝鮮の関係がある。だから、中朝関係は、互いに「血で塗り固めた友誼」と表現する。まさに「血で結ばれた」関係だ。
中国にとって今も残る戦争の傷跡
70年前の戦争の傷跡が、今も残る。当然ながら、朝鮮半島で戦死したすべての中国兵の遺体、遺骨が、中国に戻ったわけではない。つい1週間前の11月23日、中国兵25人の遺骨が韓国側から中国側へ帰った。韓国の仁川空港から中国東北部の瀋陽へ、中国側が用意した輸送機で運ばれた。輸送機が瀋陽の空港に到着した時。その模様がテレビで生中継された。 中国と韓国の間では、2014年から、中国兵の遺骨の返還が毎年行われており、今年で10回目になる。これまで、合わせて938人の遺骨が、祖国・中国に戻った。仁川(インチョン)と瀋陽。飛行機なら2時間の距離だが、それが叶わなかった70年は、長すぎる歳月といえる。