井上ひさし展14日開幕 富山・高志の国文学館
●妻ユリさん「深刻なテーマにも笑い」 高志の国文学館(富山市)の企画展「生誕90年 井上ひさし展 むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをおもしろく」(同館主催、富山新聞社共催)は14日、開幕する。作家・劇作家として活躍した井上さんの生涯、小説や戯曲などの仕事を紹介し、文学世界に迫る。13日は井上さんの妻、ユリさんが展示物を確認し、「深刻なテーマの作品でも必ず笑えるところを作ったひさしさんを、多くの人に知ってほしい」と語った。 ユリさんは、自宅の書斎にいる井上さんの写真パネルや、お気に入りだった文房具、生い立ちを紹介するパネルなど208点が並ぶ会場を見て回り、「同じ人が創作したとは思えないほど多彩な仕事をしていたが、展示はよくまとまってわかりやすい。共感できる部分が必ずあると思う」と話した。 展示は▽序章・作家となるまで▽第1章・放送作家としての出発▽第2章・小説家としての仕事▽第3章・劇作家としての仕事▽第4章・井上ひさしの書斎―で構成される。11月24日まで。 井上さんは1934(昭和9)年、山形県小松町(現・川西町)に生まれ、本名は廈(ひさし)。放送作家をしながら上智大を卒業した。64年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)、「泣くのはいやだ笑っちゃおう」のフレーズで知られるテーマソングの作詞も共作した。72年に「手鎖心中」で直木賞を受賞。戯曲、小説、エッセイなど多彩な活動を展開し、2010年、75歳で死去した。 ●ユリさんが講演 14日午後2時から、井上ユリさんによる記念講演「ひさしさんの思い出」が行われる。定員150人、参加無料で、申し込みが必要。観覧料は一般500円、大学生250円、高校生以下は無料。