ファイントゥデイ、東証プライム上場を延期-市場動向などを勘案
(ブルームバーグ): ヘアケア製品などを手掛けるファイントゥデイホールディングス(HD)は2日、東京証券取引所プライム市場への新規株式公開(IPO)を延期すると発表した。相場動向などを踏まえ、株式の売り出しを取りやめる。
発表によると、国内外での株式売り出しの中止と上場手続きの延期を取締役会で決議した。今後の上場手続きの再開は市場動向を見極めた上で総合的に判断するという。IPOの想定価格は2150円で、仮条件は2日に決定、17日に上場予定だった。
事情に詳しい複数の関係者によると、バリュエーション(企業価値評価)を巡って投資家と企業側の目線が一致しなかったことが延期の理由だという。ファイントゥデイHDの広報担当者は延期の理由について発表資料以上のコメントは控えた。
IPO銘柄などに投資する運用会社Fundnoteの川合直也最高投資責任者(CIO)は、想定価格などを踏まえ「そこまで割安ではないと投資家の目に映ったのだろう」と指摘。年末にかけてキオクシアホールディングスやDelyなどの大型案件が控えている上、同社の成長戦略が描きにくいことも背景にあるとみる。
ファイントゥデイHDはヘアケアブランドの「TSUBAKI(ツバキ)」や「シーブリーズ」などボディーケアブランドの製造・販売を手掛ける。想定価格に基づく試算では時価総額は2194億円、市場からの資金吸収額は最大約880億円だった。
グローバル・エクイティ・リサーチのアナリスト、アルン・ジョージ氏は投資情報集約サイトのスマートカルマで、同社は調整後EBITDA(支払利息・税金・償却・減価償却前利益)を経営指標としており、想定価格を基にしたEV/EBITDA倍率を求めると9.6倍と同業の中央値から6%割り引かれていると11月に試算。想定価格は「魅力的ではない」との見解を示していた。同倍率は、企業価値が実質的な利益の何倍になっているかを示す。