ドムの系譜だけやないで! ホバー移動できた意外なMS…えっガンダムタイプも!?
ホバー移動は伊達じゃない!
ホバー走行は空気を噴射して自らを宙に浮かせ、デコボコした地面や浅瀬の水面でも移動できるようにする手段です。「ガンダム」の世界では、3機が揃ったコンビネーション攻撃「ジェットストリームアタック」を得意とするエースパイロット部隊「黒い三連星」の活躍もあり、彼らが搭乗した「モビルスーツ(MS)」である「ドム」の印象が強いかもしれません。しかし、決してドムだけではなく、ほかにもホバー移動を得意とするMSが登場しています。 【あ、ザクもいるのね】こちら旧ザクにやられた「マドロック」ほか「意外にも」ホバー可能なMSの面々です(4枚) ドムと近いところでは、同じく「ジオン軍」の地上戦用MS「グフ」にバリエーション機として「グフ飛行試験型」が見られます。グフの軽量な体躯を活用した機体で、脚部に集約した「熱核ロケット・エンジン」や腰部に補助ブースターを追加し、強化した推力で飛行します。ところが飛行能力は長距離ジャンプ程度に留まり、航続距離の問題もあったため、「一年戦争」中は実用化されませんでした。 しかし、機体を接収した「地球連邦軍」によってホバー機体として復活し、その後に起きた「グリプス戦役」では実際に運用されています。 また重量級のMSで移動速度の不安を補うため、ホバー走行を採用することもありました。例えばジオン軍が開発した複座式MS「ザメル」がそうで、台形のような独特な外見の、背面に折り畳み式の「680mmカノン砲」を備える長距離支援用の重量級MSです。 初出は『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の物語序盤で、重厚な見た目に反し、追撃してくる連邦軍の機体をホバー走行で翻弄する素早さを見せました。最後は返り討ちにあってしまいますが、「サウス・バニング」が乗る「ジム・カスタム」を行動不能に追い込んだうえでの、紙一重の敗北でした。 なお、長距離砲撃が得意なホバー走行できる支援機体としては、『新機動戦記ガンダムW』に登場する「トラゴス」も挙げられるでしょう。両肩に備えたキャノン砲の威力は高く有能なはずですが、本編ではガンダムタイプMSなどの前にやられ役となってしまうこともありました。 こうみると、「宇宙世紀」シリーズのMSにおけるホバー移動は、ジオン軍およびその系譜にあるMSの専売特許にも思えますが、実のところ連邦軍の機体、しかも「ガンダム」タイプにも見られます。ゲーム『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』などに登場する、ホバー機能を備えた通称「マドロック」こと「ガンダム6号機」がそれです。マドロックは、ガンダムが「ビームライフル」を再チャージするまでの火力不足を補うための検証用として開発された試作機でした。 「アムロ・レイ」の乗機「RX-78-2 ガンダム」の同型機をベースに、肩部に2門の「キャノン砲」や、腕部に「グレネードランチャー」が増設されています。さらにはジェネレーター出力も強化され、武装の強化もあって重量が増える結果になりました。そこで脚部に備えた「スラスターユニット」や「大型バックパック」によるホバー移動を採用し、重量の増加からくる機動性の問題を解決します。 ガンダムタイプのMSとしては珍しく、登場したゲームでの扱いは敵のボスで、「ザクI」(旧ザク)に負けた機体として不名誉な扱いを受けることがあります。ただし、必要以上に負ける条件が重なってのことで、その性能は決していわれているような、弱いMSではありません。
LUIS FIELD