小学校で弾道ミサイル想定した避難訓練 校長「子どもは宝」
課題解決のため視覚による警告サイン設置
池田校長は防災訓練を始めた理由として「2011年東日本大震災が起こり、地震が起こった時には訓練こそ大事だということがわかり、2年前からより現実的な防災訓練を始め、最初は子どもたちに告知してやってましたが、それだと、いざという時に役に立たない」と話す。 また「授業中は緊急地震速報が聞こえるんですが、休憩時間などは聞こえない。1つ課題が出てきましたので、視覚による警告サインが必要だろうということで開発して頂きました。子どもが視覚でも緊急地震速報を感知できるシステムで、非常に効果的だと思います」と続けた。 体育館には見守りカメラ(防災カメラ)も設置し、その映像から館内の様子をタブレットでチェック。取り残された児童が発見されれば無線カメラや無線マイクで避難指示を出し、救助隊が行って助けるという、相互確認による迅速な救出システムも導入している。 そんな中、今度はミサイル問題が発生。地震や火災とはまったく異なる対応が求められるため、新たにマニュアルを作成し、今回は児童にも告知したうえで行われた。
防災とJアラートは対応が違う、だから訓練必要
訓練当日、午後12時50分に奈良市防災行政無線により「Jアラート」(全国瞬時警報システム)を緊急告知ラジオと視覚告知装置で受信(同校では職員室に常時設置)。 その後すぐに「訓練です、訓練です。ミサイルが発射されました。すべての活動をやめて、すぐに安全な場所に避難しなさい」と3回続けて放送した。 同校のマニュアルでは自教室では「すぐにヘルメットをかぶり、机の下へ隠れ、窓に背を向けて頭を守る」、専科教室は「すぐに机の下へ隠れ、窓に背を向け頭を守る」、運動場などは「すぐに校舎内に入り、クツは脱ぎ捨て、1階廊下か教室で扉や窓から離れて頭を守ってダンゴムシポーズをとる」、体育館は「すぐにアリーナ真ん中に集まり、窓に背を向け頭を守ってダンゴムシポーズをとる」となっている。この間、2分間をめどに行動する。 Jアラートの第2報以下を受信し、危険回避まで避難行動を続け、危険が回避されたと判断すれば、避難解除を校内放送で伝える。 「Jアラートは防災無線。奈良市もやっているが、しかし『ミサイルが発射されました』ではもう遅いです。リアルタイムでやらないと防ぎようがない。職員室も騒がしいので、そういう時にライト(視覚告知装置)で知らせると緊急だとわかる。ミサイルがどこを通過するか、先生が正確な指示を出して避難させる。防災訓練は校舎から出ること、Jアラートは校舎に入ることです。これはぜんぜん違う方向なので、こっちもやっておかないと子どもたちは間違います」(池田校長)