危険運転やマナー違反だけではない LUUPが「悪目立ちする」存在になった2つの理由
「長期的かつ俯瞰的」にLUUPを捉えてみよう
LUUPが「悪目立ち」する構造的な要因を探ってきたが、これは我々がさまざまなモノを見て、語るときの重要なポイントを教えてくれる。「長期的かつ俯瞰的な視点で物事を捉える」ことの重要性だ。LUUPを批判するにせよ肯定するにせよ、感情論や表面的な報道を見て評価すべきではない。 これまでも日本において新しいモビリティが普及するときは、こうした「叩かれ」の構造が発生している。例えば、自転車。自転車はもともと、明治時代に外国人たちが持ち込んだ。大阪ではこの新しい乗り物が受け入れられず、明治3年には「道路上での自転車の通行を禁止する法令」が出されたこともあったという。現在の我々からすれば驚くぐらい大袈裟(おおげさ)な受け止めだが、新しいものが普及するときは、こうした反応が常に起こる。 自転車はその後、さまざまな法令による規制を繰り返しながら、少しずつ日常生活になじみ、生活のあり方を変えてきた。LUUPも長い時間の中で暮らしに根付き、いずれは「当然のもの」のようになっていくかもしれない。現在のLUUPが置かれている状況を冷静に把握し、長期的な視点でそれが我々に与える影響を検討すべきではないだろうか。
著者プロフィール
谷頭和希(たにがしら かずき) 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。チェーンストアやテーマパーク、都市再開発などの「現在の都市」をテーマとした記事・取材などを精力的に行う。「いま」からのアプローチだけでなく、「むかし」も踏まえた都市の考察・批評に定評がある。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』他。現在、東洋経済オンラインや現代ビジネスなど、さまざまなメディア・雑誌にて記事・取材を手掛ける。講演やメディア露出も多く、メディア出演に「めざまし8」(フジテレビ)や「Abema Prime」(Abema TV)、「STEP ONE」(J-WAVE)がある。また、文芸評論家の三宅香帆とのポッドキャスト「こんな本、どうですか?」はMBSラジオポッドキャストにて配信されている。
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