「日本人は高級品への理解深い」 英高級車メーカー・アストンマーチンは日本市場を奪える? F1参戦効果も後押しか
自動運転は協業
マティアッチ氏は、自動運転車業界の未来について 「今後の自動車業界の勝利の方程式はコラボレーションだと考えてます。相手はその業界のベストと提携するのがいいでしょう」 と語る。そうした提携のひとつがアップルだ。新しい「アップル・カープレイ」は、まずアストンマーティンとポルシェに展開され、2024年末までにサービスが開始される予定だ。いうまでもなく、日本は他国に比べてアイフォーンのユーザーの割合が高く、ブランドの訴求力を高めている。 アストンマーティンはまた、BEV技術で米国のルシッド・グループと提携している。 「ルーシッドがベストなパフォーマンスと技術を提供しているナンバーワンだと考えたからです」(マティアッチ氏) では、長年のパートナーであるメルセデスとの関係に変化はあるのか。 「メルセデスはしっかりした技術をもっており、当社の9%を保有する株主でもあり強力なパートナーであることに変わりはありません」 とした。こうしてはアップル、ルーシッド、メルセデスと手を組むことになったが 「こういった提携が自動車業界の未来なのです」 と改めて強調した。
鈴鹿でF1プロモ
ショールームがオープンして数日後、鈴鹿サーキットでF1第4戦日本グランプリが開催され、F1チームを擁するアストンマーティンにとって最高のプロモーションとなった。 また、2026年からホンダがパワートレインを供給することも決定している。高級スポーツカーを販売するアストンマーティンとホンダが“常勝軍団”となれば、日本でのブランド価値はさらに高まり、販売台数も増加するのは自然だ。 ブランドづくり、商品ラインアップ、マーケティング戦略、販売戦略――。日本企業全体がグローバル市場で競争し、復活していくために、どのようなビジネスをしていくべきか、ひとつの参考になることは間違いない。
武田信晃(ジャーナリスト)