日産ゴーン社長、三菱自傘下入りで「世界トップ3の自動車グループに」
日産自動車が三菱自動車の筆頭株主になり、ゴーン社長兼CEOが三菱自の次期会長候補になったことが20日、発表された。ゴーン社長は同日夕の会見で、両社の関係強化について、軽自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)、ASEAN(東南アジア諸国連合)市場など三菱自が強みとする部分でのメリットを強調した。 【写真】苦境の三菱自、手を差し伸べたのは被害者の日産 買収は成功するのか
世界販売台数が3社で「1000万台」
三菱自への2370億円の出資が完了し、日産が株式34%を保有する筆頭株主になった。これを受け、三菱自は、仏ルノー・日産とのグローバルなアライアンス(業務提携や同盟関係)の一員となる。 ゴーン社長は、この3社の2016年度の世界販売台数が1000万台に到達する見込みとして、「(世界で)トップ3の自動車グループとなる」と胸を張った。世界の自動車販売は現在、トヨタ自動車、独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)が世界一をめぐってしのぎを削っており、これらの一角に加わることになる。 ゴーン社長は、今回の三菱自との関係強化による日産側のメリットとして、まず「三菱自動車の持つ軽自動車セグメントのノウハウを活用して、日本市場によりよい製品を提供する」ことを挙げた。プラグインハイブリッド技術の活用、ピックアップトラック市場での事業強化など三菱自が強みとする分野で連携を進める。 三菱自が高い販売シェアを持つASEAN地域におけるビジネスの強化などにも期待。共同購買や現地化の徹底、工場の共用、共通の車両プラットフォーム、技術の共有などで戦略的提携を進めていくとした。日産側が受けるシナジー効果は、2017年度に240億円、2018年度には600億円だとゴーン社長は見込む。
リストラや工場閉鎖は進む?
今後、三菱自の人員削減や工場閉鎖などのリストラを想定するかとの質問に対しては、「痛みを伴うリストラでシナジー効果が生み出されるとは思わない。大規模なリストラをするか否かは個別の会社が決めるものであり、シナジー効果が理由で決めるものではない」として、各社の判断にゆだねられるとした。 ゴーン社長は三菱自の次期会長候補となったが、「三菱自動車のマネジメントに関与するつもりはない」などと述べ、燃費不正問題に揺れる三菱自の再生は益子社長の仕事と説明。三菱自と益子氏をサポートしていくが、「私の責任は三菱自動車内の透明性の確認、予算や中期経営計画、戦略の確認、ルノーとの関係が円滑で有効であることを確認すること」などと述べ、三菱自の独立性を尊重する姿勢を強調した。 (取材・文:具志堅浩二) ■日産ゴーン社長が三菱自・益子会長と会見 ■日産ゴーン社長が三菱自とのアライアンスを説明