センバツ2024 近江 女子マネジャー チーム支える最強「ナイン」 /滋賀
◇選手伝達、データ収集、役割多岐に センバツ出場を決め、凍えるような寒さの中で甲子園に向けて練習に励む近江の選手たちをサポートするのが9人の女子マネジャーたちだ。彼女たちも選手に負けないほどの強い思いで日々の仕事に臨んでいる。【菊池真由】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち マネジャーの役割は多岐にわたる。試合でのスコア記入やランニングのタイム測定、グラウンドの観覧席のぞうきんがけなどがあり、雨森悠真さん(2年)も「寒い時期はぞうきんを洗うのが大変」と話す。他にも練習試合のアナウンスも担当するため、イントネーションを直すなど自主練習を重ねる。また、スコアを基に選手ごとのデータをまとめることも大事な仕事だ。大橋ななさん(同)は「限られた時間の中でやることは多いがコツコツ頑張っている」と話す。 陰からチームを支える彼女らには、それぞれ「近江野球部」への熱い思いがある。上野佑月さん(同)がマネジャーに興味を持ったのは、小学5年だった2018年。センバツに出場した近江の試合を甲子園で見て、球場を盛り上げた選手のプレーにひかれ、同校のマネジャーになると決心した。その後もテレビで近江の試合を見るたびに思いは強まり、マネジャーとして必要な野球のスコア記入も学び始めた。 京都府京田辺市の自宅から通学に片道2時間かかることなど不安はあったが、「別の高校を選んで、テレビで近江のマネジャーが映っているのを見たら絶対に後悔する」と思い、覚悟を持って受験した。 無事合格すると、「甲子園でベンチに入る」と、近江の試合の録画を見ながらスコアを付けたり野球のルールを更に学んだりして、入学式を心待ちにした。 事前に「野球部のマネジャーは希望者が多いのでなれるかどうかはわからない」と同校の先生から聞いていた上野さんは、入学式が終わるとグラウンドに直行。先輩マネジャーに「見学させてください」と伝えた。草むしりやぞうきん洗いなどを1カ月ほど体験した後、面談を経て正式に入部が決まった。 忙しく動き回る毎日だが、特に難しいと感じることは「伝えたいことを正確に相手に伝えること」と語る。時には多賀章仁監督ら指導者の言葉を中村駿介主将(同)に伝えることもあるが、一つの言葉にもさまざまな意味があり、文脈を正確に理解しないと相手に真意が伝わらないこともあるという。監督らの言葉の意味を考え、考えが選手たちに伝わるように心を砕く。 「部員全員が自分の推しです。日本一になれるよう私たちも力になりたい」と願い、上野さんたちは奮闘を続ける。