人気ホストの母親が明かす「ホストを始める前に息子を“八百屋で働かせた”」納得の理由
息子に八百屋で働くことを勧めた“納得の理由”
もともと勉強があまり好きではなかった息子は、15歳の時に進学するか世に出て働くか迷った末、最終的に働く方を選択。そこで蝶野さんは息子にとある仕事を勧めることにした。 「中学を卒業する時に、定時制の学校にしか行けないくらいの学力だったから、昼間は働いて夕方から学校に行かせようとしたんだけど、昼間の時間帯の定時制しか受からなくて。『もう働けば?』って言ったの。本人もその時点でゆくゆくはホストになるつもりだったから、だったら『八百屋で働きな』って勧めたんだよね」 ホストで働く準備段階として、息子に八百屋で働くことを勧めた蝶野さん。しかも勧めた店は、個人経営のいわゆる“町の八百屋”であった。ホストとは全くの別世界な気がするが……。 「八百屋って水商売の根本が全て詰まっている仕事なの。利幅がモノ凄く薄いから、その中で“いかに利益を増やすか”ってことを考えないといけないし、肉体労働でもあるから『仕事というモノは決して甘くないんだぞ』ってことを学べて、それを一生懸命やっている人たちとも触れ合える。さらにスーパーと違って、町の八百屋は人付き合いもあるでしょ、近所のおばちゃんに可愛がられたりして」
八百屋で鍛えられる人間力
たしかに、町の八百屋はスーパーとは異なり、顔なじみの常連さんがいて、日頃からコミュニケーションを取ることも多い。 「たとえば、茄子を買おうと思った時、どこでも売っているし、味もほとんど変わらない、なんなら産地も一緒だったりする。そこで、5円とか10円の値段の差があったとして、当然、安い方を選ぶお客さんもいるけど、そうじゃないお客さんがここで買おうって思う理由は『人』がほとんど。実際、息子がそのお店にいることで、近所のおばちゃんが何かしらの『おやつ』を持って野菜を買いにくることが多くて。普通、野菜を買いに行くのにおみやげは持って行かないでしょ(笑)」
大事なのは形のないモノでの評価
ほぼ同じ条件で他に選択肢がある場合に、選ぶ理由として大きいのが「人柄」や「店柄」だと語る蝶野さん。そこで重要となるのが「小さな気遣い」の積み重ねであり、息子もその大事さを八百屋の仕事を通して身に付けたのだ。 「息子は子連れのお客さんが来た時、通りやすいように周りの人に声を掛けたり、お母さんの代りにカゴを持ってあげたり、袋詰めして渡してあげたりしていたの。もちろん、それをやったからといって売上や利益が急激に増えるわけでもないし、当然だけど給料が増えることもない。でも、水商売はそういった“形にないモノ”でいかに評価されるかが大事だということを、八百屋の仕事を通してしっかりと理解して身に付けていたね」 たしかに、事務的に業務をこなすスーパーではなかなかできないことが、町の八百屋では普通に行われていたりすることもある。 「ホストもしかりで、お客さんが何を求めているのかをしっかりと見極めて、それをどこまで他の人よりもしてあげられるか、臨機応変に対応できるかが大事な商売なわけで、その点がしっかりと身に付いていないと、どんなにイケメンでも絶対にトップクラスのホストにはなれない。だから顔の良し悪しなんかは、そこまで重要ではないんだよね」