ロシア軍のICBM発射、ウクライナ空軍が発表…西側当局者「ICBMではない」と情報錯綜
ウクライナ空軍は21日、ロシア軍が同日早朝、露南部アストラハン州から大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射し、ウクライナ東部の都市ドニプロを攻撃したと発表した。米CNNは西側当局者が攻撃に使用された弾道ミサイルはICBMではないと述べたと報じており、情報が錯綜(さくそう)している。 【動画】ウクライナの無人艇がロシア艦の攻撃かわして体当たり。ロシア艦は船首を海面に突き出しながら沈没
ロシアのICBMは射程が最長1万キロ・メートル以上で、米本土も攻撃でき、核弾頭も搭載可能だ。ロシアは19日、「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)を改定し、核攻撃に踏み切る要件を緩和した。直後にミサイルを発射することで、ウクライナへの軍事支援を続ける米欧を威嚇する狙いもあるとみられる。
ウクライナ空軍によると、ドニプロへの攻撃には極超音速ミサイル「キンジャル」1発、巡航ミサイル7発も発射された。巡航ミサイル6発を撃墜し、他のミサイルについても「重大な被害は出ていない」としている。ウクライナの英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」は、攻撃で住民2人が負傷したと報じた。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はSNSで、攻撃に新型ミサイルが使用されたとし、「速度、高度、全ての特性が大陸間弾道弾だ。現在、調査が行われている。プーチン(露大統領)がウクライナを実験場としているのは明らかだ」と主張した。
これに先立ち、英BBCなど複数の欧米メディアは20日、ウクライナ軍が英国から供与された長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」を使い、初めて露領内を攻撃したと報じた。北朝鮮兵が派遣された露西部クルスク州の軍事標的に向けて発射したとみられるという。ウクライナ軍は19日に米国供与の地対地ミサイル「ATACMS」を露領内への攻撃に初めて使用したと報じられており、ロシアが対抗措置を示唆していた。