有馬記念の大本命アーモンドアイに死角はないのか?もし番狂わせを起こすとすればどの馬か?
だが、夢がなくては競馬は面白くない。超一流馬によるフルゲートでの頂上決戦。何があるかわからないのも競馬だ。 アーモンドアイを倒す実力馬の一番手は、1歳上の同じく牝馬でここが初対決となるリスグラシューだろう。牝馬の3冠戦では、もどかしいレースが続いたが、ハーツクライ産駒らしく古馬になって覚醒。昨秋のエリザベス女王杯でG1初制覇をすると、今年6月の宝塚記念では牡馬相手に圧勝し、2つめのタイトルをつかんだ。 秋にはオーストラリアへ遠征しコックスプレートを快勝。海外G1も制覇している。ファン投票でもアーモンドアイに次いで2位で選出。ここが引退レースとあって、坂路での最終調整は800メートル51秒3、200メートル12秒3と悔いを残さない仕上げだった。 意外にも有馬記念は初挑戦となるダービートレーナーの矢作芳人調教師も「トリッキーなコースでのコックスプレートも勝ってくれた。自在性があって、堅実に走ってくれる。凄い馬です。世界一強いと思っているアーモンドアイとどんな競馬をしてくれるか。負けてもともと。有終の美を飾ってくれれば、いうことはありません」と話す。 枠は3枠6番。矢作調教師は「ここしかない」と手を叩いた。 精神面が逞しくなり、オンとオフの切り替えができるようになった今なら、この好枠を生かし切って大仕事をやってのけるかもしれない。過去にもオグリキャップ、ディープインパクト、キタサンブラックなど引退レースを飾った馬は少なくない。 もちろん有馬記念では若き3歳馬の活躍も見逃せない。過去10年で5勝。今年は皐月賞馬サートゥルナーリア、菊花賞馬ワールドプレミア、3冠で好走したヴェロックスが挑戦するが、なかでも魅力的なのはサートゥルナーリアだろう。日本ダービー、天皇賞・秋では人気を裏切っているが、右回りでは5戦全勝と完璧。大逆襲があっても驚きはない。 ワールドプレミアはまだ成長途上。武豊騎手も「力強さが出てきたのは確か。ただ、大外を回って勝てるような相手ではない。レースの中でうまく誘導できればチャンスはあるのかな」と慎重だったが、過去10年で、菊花賞馬は5頭が出走して3勝とローテーション的にはピタリと合う。もう1頭、逆転候補を挙げるとすれば、ジャパンカップをインから差し切ったスワーヴリチャードだ。こちらも成長力のあるハーツクライ産駒。庄野靖志調教師も「以前は右回りだと内にささっていたけれど、いまは全く問題ない」と断言した。枠は1枠2番と絶好。頭脳派のオイシン・マーフィー騎手が希望していた内枠。今年、超新星として売り出した英国のリーディング騎手が、ジャパンカップに続いての大仕事をやってのけるのか。注目の有馬記念は22日の中山11レース、15時25分の発走となっている。