有馬記念の大本命アーモンドアイに死角はないのか?もし番狂わせを起こすとすればどの馬か?
年末を彩る競馬界の大イベント「第64回有馬記念」(22日・中山競馬場、G1・3歳上オープン・芝2500メートル)の公開枠順抽選会が19日、都内のホテルで行われた。令和最初のグランプリはドリームレースにふさわしい超豪華な顔ぶれがそろった。全16頭中、有馬史上最多となるG1馬11頭がスタンバイ。年度代表馬の行方も、混沌としており、勝った馬がそのままタイトルをつかむことになる。昨年の年度代表馬、アーモンドアイが大本命として人気を集めそうだが、本当に死角はないのか? 番狂わせを演じる可能性のある馬はいるのか?
降雨予想に何かが起きる?!
ドリームレースをドリームレースたらしめたのは、ファン投票堂々1位のアーモンドアイの参戦だ。強豪がそろった天皇賞・秋を快勝し、次走に予定していた香港カップを発熱で回避したが、幸い症状は、検温で38度6分と平熱より4分程度高いだけという微熱。 「海外遠征競馬でなく、国内ならばレースに使えたほど」と管理する国枝栄調教師は決断。出走に踏み切った。 実際、1週前の追い切りでは併せ馬を消化。美浦ウッドチップコースでラスト200メートルを11秒8とシャープに伸び、不安を一掃した。最終追い切りこそ、発生した霧の影響で計測不能だったが、鞍上のクリストフ・ルメール騎手の満足そうな笑顔が、万全な準備が整ったことを物語っていた。 国枝調教師は「秋の天皇賞以上の出来」と言う。 国枝調教師は、著書「覚悟の競馬論」(講談社現代新書)を出版するなど、その競馬理論には定評があり、関係者は「国枝さんが出走させるのだから勝負できる状態ということだろう」と見ている。 死角があるとすれば、初コース、初距離となる点だけだろう。中山2500メートルはコーナーが6回あり、直線が短いという、やっかいなレイアウト。そして左回りには絶対的な強さを誇るが、右回りには、そこまでの信頼度はなく、血統的にも2500メートルはベストとは言えない。ただ、某トップジョッキーに聞くと「キャリアの浅い馬ならいざ知らず、修羅場をくぐり抜けてきたタイトルホースには大幅な割り引き材料にはならない」と話している。 そもそも舞台適性に不安があるなら東京専科だったかつてのウオッカのように中山コースを避けているはずだ。距離に関しても、昨年のジャパンカップを世界レコードで圧勝しており、プラスされる100メートルで失速するのは考えづらい。まして有馬記念はマイラーでも乗り方ひとつでこなせる傾向が強い。アーモンドアイが勝利を取りこぼすシーンは考えづらいのである。枠も5枠9番なら出たなりで好位。陣営は、最内、最外だけを嫌がっていたが、ルメール騎手も「すごくいい枠だ。スタートとペースによるけどまったく心配はしていない。どのコースでも走れる」と自信のコメントを残した。 他に死角があるとすれば、当日の天気予報が雨ということ。降水確率は70パーセント。だが、シンザン記念では、稍重の馬場で力の差を見せつけて勝っている。極端に馬場が荒れれば、何かが起こるのかもしれないが……結論としてはアーモンドアイに「死角はない」ということになるだろう。勝てば、天皇賞・秋、ジャパンカップ、そして有馬記念と古馬の王道路線を制圧することになり、2年連続の年度代表馬も確定。歴代最強牝馬の誕生となる。