AIが自動で業務を最適化する「AIドリブン経営」への1年に--日本テラデータ・大澤社長
2025年に向けたIT企業のトップメッセージや年頭所感を紹介する。 日本テラデータ 代表取締役社長 大澤毅氏 2024年は、OpenAIの「GPT4o & o1」、Metaの「Llama3」、Googleの「Gemini 2.0」をはじめ性能が大きく向上した大規模言語モデル(LLM)の最新版や、それらを応用した強力なアプリケーションが登場しました。待望される日本初の基盤モデルについても、経済産業省、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が日本国内の生成AIの開発力強化に向けたプロジェクト「GENIAC」を開始し、実際の基盤モデルが発表され始めた年でもありました。またマルチモーダルAIの進化が、今後のAI活用に欠かせない技術として注目されました。一方で、日本企業において生成AIの活用は「Microsoft 365 Copilot」やLLMなどによる業務効率化が中心で、ビジネスプロセス上での活用は、多くがいまだ実証実験の領域にとどまっていると感じています。 2025年はどのような年にすべきでしょうか。 社会的にも国際政治的にも引き続き激動が予想される本年、私は、優位な成長を継続できる企業の条件は、こうしたAI活用を計画や実証実験段階から、どれだけ早く実ビジネス上の成果を獲得できるプロセスに組み込む段階へと移行できるかにあると考えています。そのためには、ユースケースベースのピンポイントでの生成AI導入ではなく、ドメイン(部門)ごとにAI活用戦略を立案し、どの業務からどんなAIを導入するか、その実現可能性と効果を踏まえ、経営層がコミットしてプロジェクトを推進することが重要です。先進的な組織や経営層に「データドリブン経営」の重要性が浸透した今日、膨大かつ刻一刻と変化するデータが示唆するインサイトをリアルタイムで読み解き、ビジネス上の成果に結実させるためには、あらゆるAIを包括的に活用し、AIが自動で業務を最適化する「AIドリブン経営」への深化とシフトが強く求められる年になると考えています。 こうしたパラダイムシフトに必要なものは何でしょうか。 LLMは、既にさまざまな分野で非常に優秀な回答を提供してくれますが、ビジネスで重要なのは、加えてその正確性です。例えば、お客さまの問い合わせ内容の理解と返答、最適な契約プランの提案、不正と判定した取引、暗黙知のデジタル化、需要の予測などの処理を想起してみましょう。残念ながら現在のLLMによる生成AIとRAG(検索拡張生成)だけで日本企業が求める精度には到達しておらず、この精度を高めるためには、複雑なタスクを分解し、多様なAIモデルを適材適所で用い処理するような包括的でスケーラブルなAIシステムが必要です。“多様で包括的なAIシステム“には、大手企業が提供するLLMや企業が独自に開発する小・中規模言語モデルによる生成AIも含まれますが、機械学習など今まで活用されてきた技術や、ディープラーニング、マルチモーダルAI技術など含まれます。本年は、企業が今一度、AI戦略を整理し、精度の高いAIを実装できる包括的なAIシステムの構築が進む年になるでしょう。 AI時代、AIはコモディティー化が進んでいくでしょう。Teradataは、データこそが企業の競争力を左右すると確信しています。企業はクラウドにあるデータだけでなく、サーバールームなどオンプレミス環境に保管されているデータも含め全てを一元的に活用できる仕組みが必要になります。だからこそTeradataのデータ分析プラットフォームは、その設計から開発まで全てのステージで「信頼できるAI」に最大のコミットメントを掲げています。 日本テラデータは、本年、お客さまのこうした取り組みを、3つの「きょうそう」を柱として強力に支援してまいりたいと考えています。各業界をリードする企業との「協走」による日本の市場要求や特性に寄り添った、極めて高性能、セキュアかつ信頼できるAIプリセットモデルと、クラウドだけでなくオンプレミスにある全てのデータを活用することを可能とする「強壮」なハイブリッドデータ分析プラットフォームを提供し、戦略立案からビジネス成果を獲得する包括的なAIシステムを実現するデータ+AI戦略アドバイザリーサービスにより、新しいビジネスモデルとその成果を「共創」してまいります。