【プレミアファイナル】大津、悲願の初V 横浜ユースに3-0快勝でプレミアファイナル制す
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、ピッチ上で笑顔が弾けた。 12月15日、高円宮杯U-18サッカーリーグプレミアリーグ2024ファイナルが埼玉スタジアム2002で行われ、WEST王者の大津がEAST王者の横浜FCユースを3-0で撃破。何度もチャレンジしながら壁に阻まれてきたなかで、選手権、インターハイを含めて創部初の日本一を果たした。 【フォトギャラリー】横浜FCユース vs 大津 県立高校から日本一へ――。過去に14年にインターハイで準優勝を成し遂げ、21年にも選手権で決勝まで勝ち上がったものの、あと一歩のところで手に入れられていなかった。そうした過去の先輩たちが悔し涙を流してきたが、ついに最高の瞬間を迎えた。 立ち上がりは中盤での潰し合いが続き、思うようにボールを前に運べずに苦戦。10番でボランチを務めるMF嶋本悠大(3年/清水入団内定)にも良い形で入らず、最前線のFW山下景司(3年)にも決定的な場面は訪れなかった。「ボールが収まらない時間帯が続いたので、前半はこのままいくこともやむなしかなと思っていた」とは山城朋大監督の言葉。スコアレスの状態で後半に向かうべく、リーグ最少失点の守備陣が身体を張った守りで相手の攻撃を食い止める。怪我の影響で横浜FCユースのエース・前田勘太郎(2年)が不在のなか、FW庄司啓太郎(3年)にボールを集めてくる状況下でも慌てずに対応。バイタルエリアへの進入を許さず、前半の終盤を迎えた。 そして、迎えた45+2分。誰もが0-0でハーフタイムに迎えると思っていた矢先、大津のボランチ・畑拓海(3年)が魅せる。山下がゴール前で粘ってボールを落とすと、畑がペナルティーアーク付近から右足を振り抜く。無回転でゴールに向かったミドルシュートには相手GKが反応できず、見事にネットに突き刺さった。 伏兵のゴラッソでリードを奪ったチームは流れを引き寄せると、後半は攻守で相手を圧倒する。山下と兼松将(3年)にボールが入るようになり、左サイドハーフのMF中村健之介(3年)、右サイドハーフのMF舛井悠悟(3年)も積極的にサイドを打開。ボランチの嶋本も高い位置を取り、持ち前の推進力で攻撃に厚みをもたらした。 何度かピンチを迎えたものの、CB五嶋夏生(3年)とCB村上慶(2年)を軸に跳ね返し、決定機もGK坊野雄大(3年)の好セーブで事なきを得た。守備陣の頑張りに応えるべく、攻撃陣は攻め続け、76分に待望の追加点をゲットする。右SB野口悠真(3年)の右クロスに山下が反応。プルアウェイの動きで相手DFを置き去りにすると、ニアサイドで高打点のヘッドを打ち込んだ。 リードを広げた大津は90+4分にも山下がハーフエーラインを超えたあたりから、相手の意表を突くロングシュートを決めて勝負あり。シルバーコレクターと揶揄されることもあった。勝負弱いと言われ、実際に期待された年に県予選で敗退する時もあった。そうした苦難を乗り越え、ようやく掴んだ初の日本一。平岡和徳テクニカルダイレクターが30年以上かけて作り上げ、OB監督にバトンを渡しながらチームの強化を進めてたどり着いた。 「平岡先生を日本一にしたいという想いがあったので、そういう意味ではOBを代表して今僕は先生と一緒に仕事をさせてもらっていて、その中でようやく先生を指導者としても選手(現役時代に帝京で選手権優勝)としても日本一にたどり着いていただいたので、僕自身もすごく幸せに思っています」(山城監督) 冬の選手権が始まる前に掴んだ栄冠はチームの歴史を変える大きな一勝だった。 (文=松尾祐希 写真=矢島公彦)