読書の秋に読みたい「ビジネス力&教養力」爆上げの3冊!書評のプロが選んだオススメ本とは?
● まったく新しい 「真の論理的思考」を身につけよう ここまで紹介した2冊は、スポーツ、芸術それぞれの分野に仮託して、「頭をどう使うか」を学べる本だった。最後に取り上げる『シン・ロジカルシンキング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、あらゆる業種・職種で成果を上げられる、新しい「頭の使い方」の型を説く書籍だ。 ビジネスにおけるコミュニケーションや思考、意思決定には、通常、「客観性」「論理性」が求められる。きちんとしたエビデンスが必要で、単なる「思いつき」は却下されることが多い。だからこれまで、MECEやSWOT分析、5W1Hといったいろいろな「思考の型」、フレームワークが生み出され、ビジネス現場に普及してきた。 ところが問題は、「普及しすぎた」ところにある。先に挙げた、いわゆる「定番ツール」は有名すぎて、安易に使うと「そんな一般論はいらない」などと一蹴されてしまいかねないのだ。 そこで、デロイト トーマツ コンサルティングで活躍する、著者の望月安迪氏が開発、提唱するのが、新しい「思考の型」である「QADIサイクル」だ。これは、客観性や論理性だけでなく、「主観」や「情理」も重視した総合的なツールである。 ● 問いと仮説から始まる QADIサイクル 「演繹的思考(ディダクション)」「帰納的思考(インダクション)」「アブダクション(仮説形成)」をきっとご存じだろう。QADIサイクルでは、この3種の思考法を組み合わせる。 QADIは略語であり、「Question(問い)」「Abduction(仮説)」「Deduction(示唆)」「Induction(結論)」の頭文字を並べたものだ。まず問い(Q)を立て、それに答えるかたちで、意外性のある仮説(A)を思いつく。その仮説を敷衍(ふえん)して、どんな可能性があるかのストーリーを示唆(D)として導き出し、その正しさを検証して結論(I)を出す。ざっと、こんな流れでQADIを展開させ、繰り返し回していく。 ポイントは、問いと仮説が先にあることだ。この2つは、何かしらの前提から考えていくのではなく、何もないところから、もしくは意外な物事をヒントとして、「思いつく」。そこにはおのずと、各個人や集団によるこれまでの経験や、培った感性などが反映される。主観や情理も重視する、とはそういうことだ。 本の中では、さまざまなケースごとにQADIをどのように具体的に使っていくかも詳しく解説されている。ぜひ読んで、基本の型を身につけ、実践してみていただきたい。 3冊を読み通すことで、頭の中を秋空のようにスッキリさせてくれるとうれしい。 情報工場 2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、まだ日本で出版されていない、欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約8万人のビジネスパーソンが利用中。 https://www.serendip.site
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